2010 Fiscal Year Annual Research Report
力学系アプローチによる海洋大循環強流域の変動解明研究
Project/Area Number |
20540431
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松浦 知徳 富山大学, 大学院・理工学研究部, 教授 (10414400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 信也 防災科学技術研究所, 水土砂防災研究部, 主任研究員 (40360367)
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Keywords | 黒潮・黒潮続流域 / ダブルジャイヤー海洋大循環 / 非線形力学 / 準地衡流渦位方程式 / 中長期変動 / カオス |
Research Abstract |
黒潮続流上流域は、ほぼ2波長の割合安定な流れの時と非常に不安定で暖冷水リングが頻繁に発生する二つの状態に大きく分類できる。この安定な状態と不安定な状態は10年程度で長期変動をしていることが指摘されている。H22年度は、ダブルジャイヤの簡略化した海洋において準地衡流渦位モデルを使い、風応力に対して季節変動させることによって、二つの状態の変動メカニズムについて非線形力学の観点から調べた。風応力を季節変動させない状態で、ほぼ2波長の安定な流れを設定(Re=157)し、風応力の季節変動の振幅αを変化させ、このパラメータ依存性を詳細に数値実験した。その結果、現実の風応力の振幅に近いα=0.5-0.6の時に、カプスカタストロフィーに基づき急激な強流続流の崩壊が起こり、高・低気圧リングが発生することが示された。この成果により黒潮続流域の変動の特徴の一つのメカニズムが示されたと考えられる。特に強流続流域のジェットからのせん断乱流の発生の問題としてこの研究を捉え取りまとめている。 また、より現実的な黒潮続流域の挙動を調べるため、北太平洋海洋大循環モデルを使った50年間の数値シミュレーションにより海洋データ同化の15年間の結果を補足するための実験を行った。その結果、風応力の季節変動が非自律的に黒潮続流域の長期変動を起こしていることを確かめることができた。 これらの結果は、海洋データ同化という海洋の大規模数値モデルで巨大なコンピュータを使って行われている海況予測としての強流域の変動予測に対して、高度化や改良するための学術的な有意義な情報を与えると考えられる。
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