2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540444
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
ROSER Barry・P 島根大学, 総合理工学部, 講師 (60325040)
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Keywords | 地球化学 / 砕屑性堆積物 / 識別図 / 堆積物の起源 / テクトニック・セッティング |
Research Abstract |
包括的な全岩化学分析から,砕屑堆積岩の起源指標である微量元素判別図の再評価を行った.この目的は微量元素判別図を進化させ,適用範囲を泥岩まで広げ,新たな元素比による起源推定の可能性を探ることである.特にLa-Th-Sc,Th-Sc-Zr,Zr/Sc-Th/Sc,Th-Th/U,Hf-La/Th,La/Sc-Ti/Zrなどの元素比を含め検討を行った.テクトニックセッティングを再定義したニュージーランドテレーンの堆積岩では海洋性島弧(OIA)と大陸性島弧(CIA)の領域が完全に重複し、これらのテクトニックセッティングの砂岩と泥岩の地球化学的分別も限定的であることがわかった.よりフェルシックな活動的大陸縁(ACM)の堆積岩は海洋性島弧(OIA)および大陸性島弧(CIA)と明瞭に区分された.しかしながら活動的大陸縁(ACM)とシリカに富む非活動的大陸縁(PM)の砂岩・泥岩は,顕著な微量元素分別を示し,それらの化学組成は完全に重複する.これら二つのテクトニックセッティングについては,微量元素組成のみからの判別が不可能であることを示す.日本のテレーンについても海洋性島弧(OIA)と大陸性島弧(CIA)の領域が重複するという問題が確認された,また活動的大陸縁(ACM)と非活動的大陸縁(PM)の区分が困難で,希土類元素指標からも同様の結果が得られた.微量元素判別図におけるテクトニックセッティング領域の重複の原因は,テクトニックセッティングよりも最終的に起源地域の平均化学組成を反映する不動元素(Immobile element)の効果によるものと考えられる.堆積岩のテクトニックセッティングの推定は,微量元素のみから単独で行うのではなく,他の手法や地質学的証拠と併用して行われるべきである
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