2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550024
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
中川 節子 Kinjo Gakuin University, 生活環境学部, 教授 (50050711)
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Keywords | 分極ポテンシャル / 多中心分極率 / 分極-電子ポテンシャル / 核酸 / ヌクレオチド / 分極力場 |
Research Abstract |
分子シミュレーションでは、一般的にペアポテンシャルが利用されてきたが、核酸のような不均質な生体システムでは不十分で、多体相互作用を扱うことができる分極ポテンシャルの開発が望まれている。本研究では、巨大分子である核酸を対象として、分極力場の開発を行った。 アデニン、チミン、グアニン、シトシンの各ヌクレオチドモデルについて、分極一電子ポテンシャル最適化法を用いて、多中心分極率の決定を行った。参照とする分子軌道計算を高い精度で実行する必要があるので、高速かつメモリが大きいコンピュータを導入して、非経験的分子軌道法プログラムGaussian03を稼働させた。 ヌクレオチドは、核酸塩基、糖、リン酸基部分から構成されている。おのおのの部分を、セグメントとして扱い、セグメント分子の多中心分極率の決定を行った。また、各セグメントモデルが、より大きなシステムの分極を再現するかを検証する目的で、AAA、TTT、CCC、GGGの計算を試みた。計算モデルは、TTTAAAまたはCCCGGGの中央コア構造を持つDNA二重螺旋のX線結晶構造解析の原子座標を用い構築した。水素原子の座標は最適化計算によって決定した。3つのヌクレオチドを含む分子は、サイズが大きいので、MP2ではなく比較的計算の容易なB3LYP/6-31G^*レベルの計算に切り替えて行っている。 多中心分極率を求める計算では、分子表面にテスト電荷を置いて、その位置を変えながら分子表面の分極一電子ポテンシャルを計算していく。3つのヌクレオチドを含む分子では、計算量が膨大であり、目下、参照とするデータを蓄積中である。セグメント化により、どの程度の影響があるかは、まだ結論が得られていない。
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