2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20550132
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
清水 禎 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ計測センター, グループリーダー (00354366)
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Keywords | 触媒 / 固体NMR / 強磁場 / 四極子核 / 構造解析 |
Research Abstract |
【研究目的】本研究の目的は、物材機構に既存の強磁場固体NMR装置を利用して、従来のNMR技術では磁場強度が足りなかったために研究対象から除外または敬遠されてきた多くの元素、特に四極子核を高精度で観測し、本来NMRが得意とする非晶質物質の構造、特に触媒構造の解明に向けて応用することである。 【背景】従来の固体高分解能NMRは、磁石で発生可能な磁場が低かったために、感度と分解能の点で突出している水素核を含むほんの数種類の原子核だけを分析対象とせざるを得なかった。そのため応用分野も炭化水素化合物にほぼ限定的であった。しかし、20T以上の強磁場になると、アルミ、ホウ素、チタン、酸素など四極子核(核スピン量子数が1/2より大きい原子核)を含む多くの元素が新たにNMRで高精度に分析可能となる。 【主な研究成果】 物材機構の930MHz強磁場固体NMRを用いて、各種触媒において四極子核のNMR観測を行った。中でも、モリブデン錯体の触媒候補物質である[Me_3NH]_6[H_2Mo_<12>O^<28>dOH]_<12>[MoO_3]_42H_2Oや[NMe_4]_2[NH_4]_8(Mo_6MoO_<23>)_2 8H_2O核のNMRでは、強磁場の利点を活かして、四極子核の高分解能測定を実現させ、従来の低磁場磁石を用いた測定では見つかっていなかった新しいサイトや構造を発見した。
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