| Research Abstract |
天然酵素は,「遷移状態の安定化」に加え,「一般酸・塩基触媒」,「求核触媒」,「金属触媒」などの複数の触媒因子を使って,高い反応効率を獲得している.しかしながら,我々のこれまでの研究結果が示しているように,これまでの抗体酵素は,単一の触媒因子(遷移状態の安定化)で反応を触媒しているため,その活性は低いものにとどまっているこの原因の一つに,従来の方法では単独の遷移状態アナログを使用して抗体を作製するために,複数の触媒因子を導入することが困難なことが挙げられる.本年度は,2種類のリン酸型遷移状態アナログを組み合わせた二重免疫法により得られた抗体酵素の機能解析を行った.
1. 抗体酵素の動力学的パラメータの決定:抗体酵素について,エステル基質を用いて,加水分解反応速度を高速液体クロマト・グラフィーにより測定し,Michaelis-Menten式より動力学的パラメータを決定した.
2. 抗体酵素のpH依存性の解析:抗体酵素のエステル加水分解反応について,pH依存性を検討した.
3. 抗体酵素の遺伝子クローニング:抗体酵素の抗体遺伝子をマウス抗体遺伝子クローニング用プライマーを用いて増幅させ,抗体発現ベクターへ組み込みクローニングを行った.得られたベクターを大腸菌へ導入し,ELISA法により抗体の産生を確認した後,DNAシークエンスを行い,抗体のアミノ酸配列を推定した。
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