2010 Fiscal Year Annual Research Report
高温度勾配における微粒子状物質の熱泳動の高精度計測
Project/Area Number |
20560182
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 正太郎 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (10282576)
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Keywords | 熱泳動 / 微小重力環境 / 高温度勾配 |
Research Abstract |
本研究は、環境汚染物質の一つである微粒子状物質の挙動に影響を与えている熱泳動現象を明らかにすることを目的とした期間3年の研究である。初年度は、既存の微小重力実験装置の改良を行い、高温度勾配の条件下で基礎データの収集を行った。第2年度(昨年度)は、初年度のデータが示唆した湿度の影響を詳細に調査し、PMMA,アルミナ、亜鉛の3種類の微小粒子の熱泳動速度に対する湿度の影響を定量的に明らかにした。また、実験値と既存の理論式との間に、粒子の種類によっては2倍近い差があることがわかった。これらの結果を踏まえ、最終年度である本年度は、実験精度の検証及び理論の検討を進めた。 まず、熱泳動に影響を及ぼすと考えられる粒子表面の気体の動きを検討し、既存の理論で簡略されている因子の影響に着目した。粒子表面での気体のすべり流れには、熱ほふく流・等温すべり流・熱応力すべり流・高次の等温すべり流があるが、既存の理論では最初の2つしか考慮されていなかった。そこで、これら全てを考慮に入れた数値計算を行ったところ、アルミナ・亜鉛での大きな差がほとんどなくなり、また、PMMAでの結果も従来よりさらに実験値に近づいた。数値計算の結果、気体の流れによる熱輸送効果が小さいことが確認されたので、これを利用した近似を行って解析解を求め、従来の予測式を置き換える新たな予測式を構築することに成功した。これを用いて、さらに実験値と予測値との差異に対する検討を行った。熱泳動速度の粒径に対する非線形的依存関係に着目し、実験試料の粒径分布の効果を考慮に加えたところ、予測の結果はさらによく実験結果と一致した。これらの結果はこれまでISTP-21(国際会議,11月)および第48回燃焼シンポジウム(国内,12月)にて発表している。
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