Research Abstract |
平成22年度は,平成21年度に製作した8自由度振動系(直列結合形),大型構造物および4足歩行動物を模擬した実験装置に加え,固有振動を利用した2足歩行を実現する実験装置を製作し,実用化への検討を行った。 8自由度振動系の実験装置を用いて,固有振動数が多くなった場合でもすべての固有振動数で共振点駆動できる方法を開発した。センサで検出した変位信号を同じ場所のアクチュエータにフィードバックする局所フィードバック制御に加えて,隣接する局所フィードバックコントローラ間の信号をクロスフィードバックすることで,すべての固有振動数で共振点駆動することができた。また,クロスフィードバックの付加により,局所フィードバックコントローラの性能を3倍程度上げることができ,減衰や摩擦の変動に対するロバスト性が向上した。 大型構造物を多点加振する実験では,加振対象を単なる長尺な薄板から航空機を模擬した構造に変更した。局所フィードバック制御されたアクチュエータを8台用いて,構造が複雑になっても,装置の1次から4次までの固有振動数を,分散制御によって発生する自励振動で加振できることを確認した。 4足歩行動物を模擬した実験装置を用いて,固有振動を利用した効率のよい駆動ができるかを検討した。4足歩行動物の筋骨格系には,トロット,ペース,ギャロップと呼ばれる歩容に類似した固有振動モードが存在した。また,各脚の付け根に取り付けたアクチュエータを局所フィードバックすることで,効率のよい共振点駆動が実現できた。 別の研究で開発した受動形2足歩行器の構造をベースに,2本の脚の付け根と左右に振動する上体の根元にアクチュエータを取り付け,接地による振動の減衰を補うようにした実験装置を製作した。アクチュエータを局所フィードバックすることで共振点駆動が実現し,受動歩行と同様の固有振動を利用した効率のよい持続歩行が実現した。
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