2010 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン系薄膜の光吸収スペクトル評価による局在準位起源の解明に関する研究
Project/Area Number |
20560294
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
吉田 憲充 岐阜大学, 工学研究科, 准教授 (70293545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野々村 修一 岐阜大学, 工学研究科, 教授 (80164721)
夏原 大宗 岐阜大学, 工学部, 助教 (30444334)
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Keywords | 電気・電子材料 / 物性実験 |
Research Abstract |
アモルファスシリコンの製膜条件と微結晶シリコンの製膜条件との境界領域で作製したシリコン薄膜における、光子エネルギー1.4eVを中心とする1.1~1.6eVの光吸収(以下、局在準位吸収と記述)について、局在準位の起源および発現メカニズムを探るため、光熱ベンディング分光法による光吸収スペクトル測定を、昨年度に引き続いて製膜条件(ガス流量および水素希釈率など)を変えて作製した試料を対象に試みた。また、局在準位吸収の起源を探るため、シリコン薄膜中におけるシリコン結晶粒径の下限値についての熱力学的な知見に関する情報収集も行った。 光熱ベンディング分光法による光吸収スペクトル測定により、~10^<-3> torrの真空中ならびに大気中での光照射(100mW/cm^2、A.M.-1.5)により、作製したすべてのproto-crystalline Siにおいて局在準位吸収の光吸収係数αが減少することが、定性的に再現することを確認した。また、大気中での光照射後における局在準位吸収の光吸収係数と、暗中での大気暴露のみ行った試料の局在準位吸収の光吸収係数は同程度となる(一例として2×10^1cm^<-1>)であることも再現した。一方、文献調査により、シリコン薄膜中におけるシリコン結晶粒径の下限値が3nmから4nmであることを見いだした。 以上の結果より、proto-crystalline Siにおける局在準位吸収の起源として、シリコン薄膜中に存在する極小(3nmから4nm程度)のシリコン結晶粒が、ひとつの候補として挙げられる。さらに、この局在準位吸収が光照射により減少するメカニズムとして、上記のシリコン微小結晶粒は熱力学的に不安定であるため、光照射や膜の酸化などの外部刺激によりアモルファス構造中に取り込まれ、結晶として安定的に存在できなくなったためと考えられる。
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Research Products
(1 results)