Research Abstract |
東海地震,東南海地震,南海地震等が切迫している現状において,海溝型巨大地震動が社会基盤施設に与える影響を検討する必要に迫られている.海溝型巨大地震では,長周期かつ継続時間の長い地震波となることが予想される.このような長継続時間地震波による橋梁構造物の応答を考えると,主要動までの地震波で軽微な損傷を受けた後,長周期地震波により長時間の繰り返し加振を受けることになる. 本研究では,海溝型巨大地震を対象とした摸擬地震波によるハイブリッド実験結果を行い,長継続時間地震波を模した正負交番載荷の載荷パターンを決定した.すなわち,±0.5δy,±1.0δy,±1.5δy,±2.0δy,±2.5δy,±3.0δyの変位履歴により最大耐力となることを確認後,初等はり理論による弾性振幅範囲内で30回の繰り返し変位を与えるものとした.変位振幅範囲による耐荷性状の差異を検討するため,1.4δy,1.6δy,1.8δyの3ケースで実験を実施した.橋脚高さ11m程度,幅厚比パラメータ0.615,細長比パラメータ0.362の鋼製橋脚を対象とし,約1/8の縮尺模型を供試体(供試体長1.41m)として用いた.また,実験を対象とした複合非線形EFM解析を実施し,実験結果の妥当性を確認した. 実験結果から,今回考慮した変位振幅範囲では,最大耐力履歴後の30回の繰り返し変位履歴により,最大耐力は4~10%程度の低下がおこった.この際,繰り返し振幅範囲が大きいほど,繰り返し回数が多くなるほど耐力低下の割合も大きくなることが確認できた.一方,繰り返し変位履歴を受けても剛性は大きく変化しないことも確認できた.シェル要素による複合非線形FEM解析結果からも,実験結果と同様の傾向を確認できた.
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