2010 Fiscal Year Annual Research Report
地震時における固結砂の力学特性と斜面安定性の評価法に関する研究
Project/Area Number |
20560464
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鈴木 素之 山口大学, 大学評価室, 准教授 (00304494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅崎 健夫 信州大学, 工学部, 准教授 (50193933)
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Keywords | 地震 / 地すべり / 固結 / 砂 / 定常状態 / 斜面安定 / 繰返しせん断 / リングせん断 |
Research Abstract |
新潟県中越地震では,砂質泥岩斜面で地すべりが発生し,甚大な被害が生じた.これは,砂質泥岩や砂岩のような弱く固結した砂が地震動による繰返しせん断によって破壊し,その後の急速せん断によって固結力(セメンテーション)を喪失し,著しく強度低下したためと考えられる.そこで,本研究では,開発した繰返し載荷定体積リングせん断試験装置を用いて,固結力を再現した砂の繰返しせん断強さや大変形状態に至るまでのせん断特性などを詳細に検討した.本研究から得られた主要な結果は以下のとおりである.1)寺野および東竹沢の密詰め乾燥砂および固結のない豊浦調整砂の定常状態せん断強さは0.1~20mm/minの範囲におけるせん断速度の影響をほとんど受けない.2)一方,固結した豊浦調整砂の定常状態せん断強さはせん断速度の段階的な増加に伴い減少し,最終的には固結のない砂の値に近づく.3)密詰めの寺野の場合,垂直応力が392kPa以上,せん断速度が10mm/min以上の条件でせん断中に粒子破砕が生じて細粒分が増加する.4)豊浦砂,非固結および固結豊浦調整砂の各試料において,初期垂直応力が98~294kPaの範囲で実施した非排水繰返しせん断時の応力経路が,同一試料に対して別途実施した圧密定圧リングせん断試験から得られた定常状態せん断強度線に達して,繰返しせん断破壊が生じた.5)これより,固結供試体の強度線に接するような応力状態を生じる地震動によって,砂質斜面で地すべりが発生したと推定される.以上のことから,固結力を有する砂質土からなる斜面の地震時安定性は,固結力を保持する乱さない砂試料のせん断強度線と地震時の有効応力状態に基づいて評価することが可能である.
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Research Products
(3 results)