2008 Fiscal Year Annual Research Report
異化的鉄還元を利用した新たな重金属含有排水処理システムの構築
Project/Area Number |
20560509
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
岩堀 恵祐 University of Shizuoka, 環境科学研究所, 教授 (40183199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関川 貴寛 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教 (20511728)
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Keywords | 異化的鉄還元 / マグネタイト / フェリハイドライト / PCR-DGGE / 嫌気性集積培養系 / Geobacter sp. / 粉末X線結晶解析(XRD) / 電子供与体 |
Research Abstract |
研究代表者らの獲得した嫌気性集積培養系における、フェリハイドライトのマグネタイトへの変換に及ぼす培養条件の影響を検討したところ、マグネタイト形成では酢酸塩が電子供与体として利用され、またpHと温度の影響は、それぞれpH7.1〜7.8、26〜37℃の範囲において活発なFe(III)の還元が認められ、マグネタイトの形成には、リン酸塩の添加濃度に大きく影響を受けることが明らかとなった。次に、PCR-DGGE法を用いて菌叢解析を行ったところ、7つのバンドが確認され、本集積培養系は7種の細菌が混在していることが示された。16S rRNAのV3領域(約200bp)をもとに検索を行ったところ、各々の細菌で相同性が最も高かったのはFirmicutes bacterium、Delftia sp.、Clostridium litorale、Genbacter sulfurreducens PCA株、Tissierella sp.、Clostridium sp.、Exiguobacterium spであり、集積培養系のマグネタイト生産を担っている細菌はGeobacter sulfurreducens PCA株の近縁種(SL1株)のみであることが明らかとなった。この細菌群の中で有機物として酢酸塩を利用できない細菌がいることから、培地に添加した酵母エキスを栄養源として増殖していると考えられる。このことから、環境中から異化的鉄還元細菌を単離するためには酵母エキスのような、他の細菌が利用できる有機物を添加しない培地を構築することが重要である。さらに、粉末X線結晶回折(XRD)と高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)による分析結果から、形成されたFe化合物はマグネタイトであり、10nm程度の微粒子であることから、超常磁性を有し、均質なマグネタイト磁気微粒子が産生されたことが示唆された。
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