2008 Fiscal Year Annual Research Report
建築計画・環境工学的にみた標準設計型小学校教室の改修・運用モデルの研究
Project/Area Number |
20560588
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
伊藤 俊介 Tokyo Denki University, 情報環境学部, 准教授 (50339082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 佳奈子 明治大学, 理工学部, 講師 (10313107)
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Keywords | 標準設計 / 教室 / 教室改修 / 音環境 / 家具 / 共用空間の使われ方 / デンマークの事例 |
Research Abstract |
1.標準設計型小学校教室の建築計画・使われ方に関する既往研究、教室環境に関する環境心理学的研究および教室の音環境に関する研究について資料収集・レビューを行った。 2.デンマークおよびフィンランドの教室環境に関する調査を行った。実地調査では近年教室改修を行った5校(デンマーク3校、フィンランド2校)を調査し、授業観察とヒアリングを行った。デンマークでは2008年に改正された建築基準法についても情報を収集し、教室の音環境の要求水準がきわめて高くなっていることを確認した。授業観察から、話し合いを伴う小人数でのグループワークが増えており、そのために音響的プライバシーと小空間が必要とされていることがわかった。デンマークでは特に、教室外の共用空間を静かな作業場所の確保に用いており、日本では共用空間に学習活動が一斉的に展開するのと対照的であった。また、教室空間の柔軟性を向上させるために、可動性の高い教室家具が有効であることが観察された。 3.国内の小学校で教室まわりの計画に特徴のある2校でも授業観察を行った。パーティションによって教室・共用空間を区切ることのできるケースでは、場所を分割して多様な活動が行われていた。 4.本年度の結果を総合すると、(1)近年の授業形態には、分節された空間が必要であること、(2)建築的改修だけでなく、家具の役割が大きいこと、(3)共用空間が大人数で使うスペースではなく、小人数のためのスペースとして機能していること、(4)教室・学習空間の音響性能は、空間を効果的に分節するための重要な要素であることが明らかになった。 5.これらは、従来の学校計画のベースにあった、「一斉授業のための教室」と「個人・グループ学習のための共用空間」という切り分けを再考する必要性を示す重要な知見である。
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