2009 Fiscal Year Annual Research Report
建築計画・環境工学的にみた標準設計型小学校教室の改修・運用モデルの研究
Project/Area Number |
20560588
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
伊藤 俊介 Tokyo Denki University, 情報環境学部, 准教授 (50339082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 佳奈子 明治大学, 理工学部, 准教授 (10313107)
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Keywords | 標準設計 / 教室 / 機能計画 / 環境条件 / 運用改善 / モデル教室 / 授業での使われ方 / 使用後評価 |
Research Abstract |
小学校校舎の余裕教室を用いて学習空間としてのフレキシビリティを高めたモデル教室を設営し、授業での使用評価を行った。教師へのヒアリング・授業観察を行い、その結果から全面をホワイトボードに改修し家具を軽量・可動化した教室を提案・設営した。4・5・6年生各1クラスに3時間ずつ授業を行ってもらい、教室の使われ方を観察・分析した。環境条件については音・光の面から検討を加えた。教師は毎回使用後にアンケートによる評価を行い、実験期間終了後にはヒアリングで全般的評価を聞いた上で、児童アンケートも実施した。 教室の使い方では、教師が教室前方・側面・後方のホワイトボード間を頻繁に移動したり、複数の箇所を使い分けて授業を行う傾向が見られた。また、児童全員に解答を板書させて比較検討する場面が頻繁にあった。机の配置替えはあまり起こらなかったかわりに教師・児童の移動によってフレキシブルに使われていたといえる。 音環境については、簡易な吸音材の設置によって推奨条件に近い残響時間が得られることが確認された。光環境については、必要な照度がモデル教室でも得られたがグレア抑制の必要性が認められた。 使用後評価では、教室の全面がホワイトボードである点は、板書面の広さと多数の児童に書かせられることから評価が高かった。児童の机・椅子が軽量で可動性が高い点については、教室の配置替えはしやすいものの、机が動きやすく児童の姿勢が安定しないことが問題点として浮かび上がった。児童アンケートの結果では4年生は家具に由来する姿勢の不安定さが主に挙げられたが、6年生では普通教室からの環境の変化自体がマイナス要因となっており、個別の環境要素だけでなく環境への慣れも評価において考慮する必要があった。教師による全般的評価では、今回のモデル教室は普通教室を補完するワークルームに適していると評価された。
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