2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゴシック建築成立に関わる教会堂コーパスに含まれる全支柱の詳細なカタログの作成
Project/Area Number |
20560608
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Research Institution | Daido Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 達生 Daido Institute of Technology, 工学部, 教授 (40131148)
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Keywords | ゴシック / 身廊壁 / 線条化 / 複合柱 / 円柱 / 支柱転換 / イール・ド・フランス |
Research Abstract |
本研究の目的は、「ゴシック身廊壁面の線条化は、身廊の支柱が複合柱から円柱系支柱に転換されることによって進行した」とする申請者の仮説を証明するために、これに直接関わるコーパス137棟の遺構すべての支柱(ヴォールトシャフトを含む)形態について、詳細なカタログを作成することにある。作業の中心をなすのは、シャフトを含めた支柱の実測とその図化である。平成21年度は、7月26日から8月2日までと10月4日から10月18日までの実働17日間、現地調査をおこない、交付申請書の研究実施計画に挙げた30棟の遺構のうちの21棟と、実施計画にないが、コーパスに新に加えた教会堂12棟の計33棟を調査することができた。調査においては、支柱の形状を目視によって確認するとともに、写真とスケッチによって記録し、かつその断面形状を正確に把握するための実測をおこなった。 上記仮説の証明には、コーパス内の二つの支柱グループの形状の本質的な相違を明らかにすることが焦点となるが、既に計測済の遺構と合わせて、現在までに得られた111棟の正確な支柱形状は、この相違を明確に裏付けている。コーパス内の149棟(新に12棟を加えて)の支柱のカタログは仮説の証明に必要不可欠であるが、さらに、カタログそれ自身がゴシック建築研究の(とくにゴシック建築形成期の)重要なデータとなることもあり、教会堂のその他の基本データを、合わせて収集し整理しておく必要がある。この作業のうち、主として文献調査による年代確定および平面・立面等の基本図の収集は、21年度までに149棟のうちの約6割について完了できた。また、既に撮影済みのフィルム写真については、21年度は約900枚、20棟程度についてデジタル化による整理を完了した。また、ゴシック建築のピアに関する既往研究の整理をおこない、本研究の独自性(まとまった研究がほとんど見当たらないこと)を確認した。
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