2008 Fiscal Year Annual Research Report
固体高分子形燃料電池用セパレータとしてのステンレス鋼の耐食性評価
Project/Area Number |
20560665
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
八代 仁 Iwate University, 工学部, 教授 (60174497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明 承澤 岩手大学, 工学部, 助教 (30455753)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / セパレータ / ステンレス鋼 / 腐食 |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池(PEFC)用セパレータ候補材料として期待される各種ステンレス鋼について、模擬環境における電気化学的試験と発電試験とにより、耐食性の観点から評価した。SUS304ステンレス鋼製セパレータは、カソード側で腐食したが、SUS310Sステンレス鋼は1000時間発電後も腐食しなかった。発電後のセパレータ表面の不動態被膜を分析した結果、Fe/Cr比に特徴的な挙動がみられた。すなわち、カソードガス(空気)入り口付近で生成した皮膜はFeの割合が高いのに対し、出口付近ではCrの割合が高かった。pHを変化させた模擬溶液中における分極試験によって生成する不動態被膜と比較して考察した結果、入り口付近ではpHが4以上であるのに対し、出口付近ではそれ以下に低下していることが示唆された。SUS310Sステンレス鋼のほかにも、Crを22%以上含むステンレス鋼では概ね耐食性が良好であり、特に窒素を固溶したステンレス鋼は高い耐食性を有し、発電電圧の降下率が小さかった。しかし、いずれのステンレス鋼も炭素製ガス拡散層(GDL)との接触抵抗は目標値(10mΩ-cm^2)よりかなり大きく、グラファイト製セパレータを用いたセルに比べて発電電圧が小さかった。この問題を解決するため、ステンレス鋼表面に、TiN-SBR(スチレンブタジエンゴム)の複合層を泳動電着により形成させる方法を考案した。この処理によってステンレス鋼製セパレータとGDLとの接触抵抗はほぼ目標値まで低下した。PEFC環境中におけるTiN粒子の安定性も十分高いことが示された。このように、Crを32%以上含むステンレス鋼を上記表面処理することで、PEFC用セパレータに要求される条件がほぼ満足されることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)