2009 Fiscal Year Annual Research Report
硝酸イオン汚染水の触媒法浄化における水中共雑物の影響とその対策に関する研究
Project/Area Number |
20560717
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神谷 裕一 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (10374638)
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Keywords | 固体触媒 / 地下水の浄化 / 水素化反応 / 硝酸イオン / スズーパラジウム合金 / 共存イオン / フミン酸 / オゾン酸化 |
Research Abstract |
硝酸イオンによる地下水汚染が、世界各地で深刻化している。本研究では、簡便かつ高速な汚染地下水浄化法として固体触媒を使った水中硝酸イオンの還元除去を検討している。先の検討により、蒸留水中での硝酸イオン還元反応に対して高い触媒性能を示す銅-パラジウム合金触媒は、実地下水中では地下水に含まれる塩化物イオンの銅サイトへの吸着阻害によってその性能が大きく低下してしまうことを見出している。すなわち、触媒成分として銅を使用する限り、この問題は回避できないと言える。そこで本研究では、塩化物イオンが水中に共存しても高い触媒性能発揮するパラジウム合金触媒を探索すると共に、見出された触媒を用いて硝酸イオンで汚染された実地下水の浄化を試みた。活性炭担持パラジウム触媒に第二成分として種々の金属塩を添加したパラジウム合金触媒を調製し、塩化物イオン共存下での触媒性能を評価したところ、活性炭担持スズーパラジウム触媒および活性炭担持インジウムーパラジウム触媒が塩化物イオンが共存しても高い活性と高いガス生成物(窒素と一酸化二窒素)選択性を示すことを見出した。組成を最適化した活性炭担持スズーパラジウム触媒を用いて実地下水の浄化を試みたが実地下水中では触媒性能が低下し、汚染地下水を浄化することはできなかった。地下水に含まれる成分を分析し、それらが触媒に与える影響を系統的に調べた結果、地下水に含まれる有機物(約5mg/L)が触媒性能低下を引き起こしていることが分かった。地下水にオゾンガスを吹き込んで有機物を酸化分解すると触媒性能の低下が回避できた。地下水のオゾン酸化前処理プロセスと活性炭担持スズーパラジウム触媒による硝酸イオン還元除去プロセスを組み合わせることで、地下水中の硝酸イオンを飲用可能なレベルにまで低減させることに成功した。
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Research Products
(4 results)