2010 Fiscal Year Annual Research Report
硝酸イオン汚染水の触媒法浄化における水中共雑物の影響とその対策に関する研究
Project/Area Number |
20560717
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神谷 裕一 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (10374638)
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Keywords | 地下水浄化 / 硝酸イオン / パラジウム合金触媒 / 水中共雑 / 水素化 / 光触媒反応 / 酸化チタン / 膜分離 |
Research Abstract |
硝酸イオンによる地下水汚染が、世界各地で問題となっている。本研究では、汚染地下水を飲料水に供するために不可欠な硝酸イオン除去法として、(1)アニオン交換膜を使った膜分離、(2)光触媒反応による硝酸イオン光還元分解を検討した。 (1)セパレーターとしてアニオン交換膜(旭硝子製セレミオン)を用い、右室に硝酸ナトリウム水溶液、左室に塩化ナトリウム水溶液を入れ、各室の硝酸イオン濃度の時間変化を測定したところ、約10時間で硝酸イオンはほぼ量論的に左室に移動し、逆に塩化物イオンは右室に移動した。この方法を実地下水浄化に適用したところ、地下水の硝酸イオンを飲用適切濃度にまで低減させることに成功した。 (2)白金修飾酸化チタンとアルミナ担持スズ-パラジウム合金を硝酸カリウム水溶液に分散し、エタノール共存下で紫外光を照射したところ、硝酸イオンは速やかに、窒素ガスもしくは亜酸化窒素ガスへと還元分解された。暗所ならびに白金修飾酸化チタンを添加しない場合は反応が進行しなかったことから、光触媒反応的に硝酸イオンが還元されることが分かった。該光触媒反応系は、スズ-パラジウム合金を直接、酸化チタンに修飾した光触媒系よりも、高い反応効率を示した。該光触媒反応系を使って実地下水中の硝酸イオン光還元反応を試みたところ、地下水の特別な前処理を行わなくても硝酸イオンは速やかに分解された。しかし、大部分の生成物は飲用に不適なアンモニアであった。窒素ガスもしくは亜酸化窒素ガスへの選択性向上が、該光触媒反応系の解決すべき課題である。
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