2009 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的遺伝子発現解析を用いたバクテリアの増殖再開メカニズムの解明
Project/Area Number |
20570006
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
牧 泰史 Osaka Medical College, 医学部, 講師 (60401733)
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Keywords | 細菌 / マイクロアレイ / 増殖 |
Research Abstract |
本研究はバクテリアが増殖停止から増殖再開に至るメカニズムを解明することを目的とし、大腸菌をモデル生物として、主に遺伝子発現の観点から、様々な生育状態にある細胞を使ったmicroarray解析を進めている。平成21年度前半までは、当初の計画通り増殖停止期と増殖再開期時期に注目しつつ、対象とする生育時期を広げ、生活環全体を通して網羅的遺伝子発現解析を進めた。その結果、増殖再開の初期に発現する遺伝子群の存在が明らかとなった。しかし、バクテリアの増殖に必要な栄養素は一つではなく、それぞれによって増殖の停止と再開のメカニズムは異なっていることが予想された。そこで平成21年度後半からは、含まれる栄養素をコントロールできる最少培地を用い、窒素(N)、リン酸(P)、グルコース(C)を欠乏させた場合の増殖停止期と、再供給したときの増殖再開期の細胞について、遺伝子発現のプロファイルを調べ、各栄養素ごとに比較する研究を進めている。これまでに、栄養素の違いによって増殖停止期の細胞の寿命や生理的状態は違っており、飢餓環境への適応がそれぞれ異なっていることが明らかとなった。また栄養供給後の遺伝子発現プロファイルも互いに違っており、増殖再開メカニズムも異なっていることが示唆されている。今後は特徴的な発現パターンを示す遺伝子を探索し、遺伝子破壊株の表現型観察やプロテオーム解析、蛍光融合タンパク質による細胞内局在の観察などから、その機能解析を進めていく予定である。
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