2008 Fiscal Year Annual Research Report
開放系魚類群集の種数面積関係に及ぼす種間なわばりと定着戦略の影響
Project/Area Number |
20570020
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
服部 昭尚 Shiga University, 教育学部, 教授 (90273391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁野 拓郎 水産総合研究センター・西海区水産研究所, 石垣支所, 生態系保全研究室長 (10372004)
右田 正夫 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (70335157)
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Keywords | 種数面積関係 / サンゴ礁 / 景観 / 画像解析 / ランダム置換モデル / 生息地の構造 / 種間なわばり / ランダム群集 |
Research Abstract |
本研究では、開放系魚類群集を構成しているスズメダイ科魚類を対象に、大小様々な87個のパッチリーフ(岩礁)において生息種数と個体数を繰り返し観察し、その平均値を用いた種数面積関係の分析を行った。また、稚魚の定着量を左右すると予想される岩礁の周辺長やサンゴ群落の被度、稚魚の定着を阻害すると予想される藻類食魚の種間なわばりの数も計測した。87パッチリーフには、縄張り性藻類食魚や動物プランクトン食魚、サンゴポリプ食魚など24種、2,532個体が確認された。回帰関数群の中から赤池情報量基準(AIC)に基づいたモデル選択を行った結果、両対数(冪乗則)や他のモデルではなく、片対数の種数面積直線が最適なモデルとなった。岩礁の周辺長と種数には統計的に有意な相関関係は見られなかった。サンゴ群落の被度を面積との相互作用とともに回帰関数に加えた場合、面積だけからの生息種数の予測よりも約5%決定係数は上昇した。さらに、変数選択重回帰分析により、種数に影響する種の個体数を特定したところ、12種がその個体数によって有意に生息種数に貢献しており、そのうちスズメダイモドキの1種類だけが負の方向に著しく影響していることが明らかになった。この種は、藻類の種間なわばりをもつことで知られているが、藻類そのものではなく、降り積もったデトリタスを食することが知られている。本種が大型の岩礁で個体数を増加させていたために、種数面積関係は冪乗則ではなくて対数則になると考えられた。帰無仮説としてのランダム置換シミュレーションの結果かからも、小さな岩礁での生息種数はランダムな定着のみで説明できるが、大きな岩礁ではランダムな定着で期待されるよりもかなり少ない種数しか生息していないことが明らかになった。現在、この成果は国際誌に投稿中である。
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Research Products
(4 results)