2009 Fiscal Year Annual Research Report
開放系魚類群集の種数面積関係に及ぼす種間なわばりと定着戦略の影響
Project/Area Number |
20570020
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
服部 昭尚 Shiga University, 教育学部, 教授 (90273391)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁野 拓郎 水産総合研究センター, 養殖研究所, 業務推進課長 (10372004)
右田 正夫 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (70335157)
|
Keywords | 海洋生態 / サンゴ礁 / ランダム群集 / 種数面積関係 / 景観 / パッチリーフの構造 |
Research Abstract |
平成20年度までにスズメダイ科魚類の種数面積関係を詳細に解析した結果、大リーフでは藻類食魚3種(クロソラスズメダイ、ハナナガスズメダイ、スズメダイモドキ)が共存するが、中リーフでは前2種はコロニー単位では共存できず、小リーフでは藻類食魚の縄張り自体が存在しないことを明らかにした。また、特に大きいリーフほど、スズメダイモドキの単独縄張りが目立ち、他のスズメダイ科魚類の相対種数は減少した(Hattori & Shibuno 2010)。平成21年度では、上記3種の種間関係に焦点を当て、その存在様式を、個体レベルでの縄張り行動に注目して観察した。その結果、クロソラスズメダイとハナナガスズメダイは、リーフの上面や側面上部など枝サンゴが優占できるような場所、すなわち、他のスズメダイ類の多い場所に縄張りを構え、コロニーを形成するが、スズメダイモドキはリーフの下層部に単独縄張りを形成し、その縄張り行動の対象は同種他個体の他、ナガニザなど藻類食魚のごく一部に限定されていた。スズメダイモドキは、本当は藻類食ではなく、藻類上に堆積したデトリタスを食すという研究報告があり、本研究では、時々リーフ間を移動して縄張りを空ける個体の存在が明らかになったため、直接的な他種への攻撃行動ではなく、縄張り内の立体構造を無くすことにより、他種にとっての生息環境を悪化させ、結果的にスズメダイ科魚類の種類数に負の影響を与えているものと推察された。また、立体的リーフの体積に比例して個体数を増加させていたクマノミ類にも焦点を当て、イソギンチャクの分布とリーフの形状との関係を明らかにできた。
|
Research Products
(3 results)