2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570029
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
箱山 洋 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所内水面研究部, 主任研究員 (50344320)
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Keywords | 共存 / 無性生殖 / 個体群 / gynogenesis / Carassius auratus / 有性生殖 |
Research Abstract |
無性型のフナは全メスの雌性発生であり、有性型のオスなしには増殖できない。一方、オスを作るコストがある有性型の増殖率は潜在的には無性型の半分であるため、共存は困難である。そこで、有性と無性の同所的共存のメカニズムに関する研究を行った。 1 野外個体群調査:引き続き全国13ヵ所の調査を行い、得られたデータからメタ個体群共存仮説の検証を行った。Kokko et al.(2008)は、地域の絶滅と再コロニー化から共存を説明するメタ個体群共存仮説を提案した。メタ個体群共存仮説は、有性型のみの地域個体群が存在することを予測する。この予測をデータからテストした。結果として、地域個体群の有性・無性型の比率は地域間で大きく異なった。また、有性型(二倍体)のみからなる地域個体群はなかった。したがって、メタ個体群の構造を介した共存の仮説は支持されなかった。魚類の生息地は水系で大きく隔たっているため、頻繁な地域間の移動は起こりにくいことが、メタ個体群共存仮説が支持されなかった理由であろう。 2 実験個体群:半野外実験個体群:半野外(約17トンの池を8つ)および室内(約2トンの池を7つ)の実験個体群の維持と観察を続けた。初期頻度によらずに無性型の比率が個体群中で増加した。有性無性間で加入率に頻度依存性は検出されなかった。観察された無性型の増殖率は大きく、性のコストの個体群への影響を初めて実証した。数十世代のうちに実験個体群は絶滅すると考えられる。実験系では考慮していない要因が自然での共存を可能にすることを示唆している。
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Research Products
(4 results)