2011 Fiscal Year Annual Research Report
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20570029
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
箱山 洋 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所・内水面研究部, 主任研究員 (50344320)
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Keywords | 共存 / 無性生殖 / 個体群 / gynogenesis / Carassius auratus / 有性生殖 |
Research Abstract |
無性型のフナは全メスの雌性発生であり、有性型のオスなしには増殖できない。一方、オスを作るコストがある有性型の増殖率は潜在的には無性型の半分であるため、共存は困難である。そこで、有性と無性の同所的共存のメカニズムに関する研究を行った。 (1)野外個体群調査:引き続き全国13カ所の調査を行い、得られたデータからメタ個体群共存仮説の検証データさらに整備・強化した。メタ個体群共存仮説は、有性型のみの地域個体群が存在することを予測するが、データからは支持されなかった.(2)実験個体群:半野外実験個体群:半野外実験個体群の維持と観察を続けた。初期頻度によらずに無性型の比率が個体群中で増加した。有性無性間で加入率に頻度依存性は検出されなかった。観察された無性型の増殖率は大きく、性のコストの個体群への影響を初めて実証した。実験系では考慮していない要因が自然での共存を可能にすることを示唆している。(3)さらに、共存にも関係する可能性がある遺伝システムについて、四倍体オスと二倍体メスから三倍体メス(新しいクローン)がつぎつぎに誕生していることを確かめた。クローン性についてはAFLP分析によるDNAパターンの一致性と鱗移植による組織不和合性が見られないことで確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本各地の個体群の動態を観察する体制を構築して、時系列から負の密度効果を検定することが可能となりつつある。また、実験個体群では中間時点での密度効果の検証を行うことができた。室内実験での有性・無性の成長率についても比較することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)野外個体群調査:引き続き調査を行い、有性無性の比率の時間変化を観察する。また、クローン多型の地域変異と時間変化を明らかにする。平成24年度には、有性無性型の比率の負の密度効果に関する検定とクローン多型の頻度変化に関する検定を行う。 (2)半野外実験個体群:半野外の実験個体群は5世代・5年間のデータから、有性・無性間で少数者有利の密度効果があるのかを検証する(平成24年度)。室内実験個体群:室内実験については前半の3年間程度で6世代程度の新規加入が予想されることから、平成22年度までに、共存が可能であるか、出生・死亡・成長に有性・無性間の違いがあるのかについて明らかにし、論文として取りまとめる。
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Research Products
(1 results)