2010 Fiscal Year Annual Research Report
幼形進化に隠された多様性:サンゴ礁性シラスウオ科魚類の進化パターン分析
Project/Area Number |
20570084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
昆 健志 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (10401192)
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Keywords | 幼形進化 / 魚類 / 隠蔽種 / 多様性 / 分子系統 |
Research Abstract |
プロジェクト最終年度にあたる2010年度のシラスウオ科魚類の標本採集は,国内では琉球列島の沖縄島北部,国外ではタイ王国のインド洋側にあるプーケットにて実施し,さらにインド洋に含まれる紅海やモーリシャスにおける採集を現地研究協力者によって実施した.沖縄島での採集には成功したが,インド洋における採集は不成功であった.そのインド洋における3ヶ所のうち2ヶ所は,採集記録がある場所の近隣であり,そのため採集の成功が見込まれたが,海況の変化などの要因で標本が得られず,今後の検討課題となった.初年度の2008年にパラオで得られた標本を解析した結果,5種の分布が確認され,そのうちの4種が新たに見つかった隠蔽種であった.このことからシラスウオ科魚類は地域固有性が高い傾向にあることが明らかになり,この成果をIchthyological Research誌において論文として公表した(Kon et al.,2011).また,ミトコンドリアDNA全長塩基配列を用い系統解析も,前年度に引き続きシラスウオ科を含むハゼ亜目全体を対象として進めた.前年度までに,シラスウオ科はクロユリハゼ科やオオメワラスボ科と一つのグループ(クレード)を形成することが明らかになっていたが,このグループの多くの属を網羅して解析した結果,シラスウオ科はタンザクハゼ属と姉妹群を形成することがほぼ確実となった.この成果は,太平洋域でのシラスウオ科魚類の多様性解析の結果と合わせて,2011年以降の学会発表と論文公表を予定している.
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