2010 Fiscal Year Annual Research Report
鉄硫黄クラスター生合成マシナリーの作動機構:IscUの構造変換に基づく反応の機序
Project/Area Number |
20570130
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
高橋 康弘 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10154874)
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Keywords | 鉄硫黄タンパク質 / 鉄硫黄クラスター / 生合成 / 遺伝子 / タンパク質 |
Research Abstract |
鉄硫黄(Fe-S)タンパク質は、コファクターとしてFe-Sクラスターを持つタンパク質の総称である。Fe-Sクラスターの構造は[2Fe-2S]、[4Fe-4S]または[3Fe-4S]と単純だが、その生合成は実に複雑な生化学反応であり、細胞内では複数の成分から構成されるマシナリーがこれを担っている。本年度はISCマシナリーの作動機構の解明を目的として、クラスターのde novo形成部位として知られるIscUタンパク質の構造-機能相関、ならびにマシナリー特異的なシャペロン-コシャペロンシステム(HscA-HscB)の役割について解析を進めた。 ホロ型IscUの結晶構造は、三量体の中に[2Fe-2S]クラスターを一つだけ含むユニークな非対称構造である。この構造に基づいて、クラスターのリガンドである3残基のCysと1残基のHisに系統的に変異を導入したところ、これら4残基はすべてIscUの機能に必須であり、他のアミノ酸では機能不全となるばかりか、CysとHisの配置にも互換性が無いことが判明した。また、昨年見出したIscUの必須残基、Tyr3とLys103についても系統的な置換実験を進めたところ、いくつかの変異IscUで、好気/嫌気条件における機能性が異なるという結果が得られた。これらの知見は、IscUに新規に形成されたFe-Sクラスター(酸素に不安定)を、三量体に会合して一時的に保護することの重要性を支持している。HscA-HscBについては、これまでIscUとの相互作用のみが知られていたが、新たに、ホルムアルデヒドで架橋されるタンパク質を多数検出した。Fe-Sクラスターの受け渡しに際して、HscA-HscBが、多数のアポタンパク質をIscUヘリクルートするという可能性が浮上してきた。
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