2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570174
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鎌田 このみ Hokkaido University, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (80312354)
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Keywords | 細胞 / 脂質 / 細胞極性 |
Research Abstract |
出芽酵母をモデル細胞として、私たちはこれまでに、通常細胞膜の内層に偏って存在するボスファチジルエタノールアミン(PE)の外層への移行(プロップ)と外層へ露出したPEが再び内層に移行する動き(フリップ)が極性形成の制御に関与していることを示唆する結果を報告してきた。本研究では、このことをさらに詳細に解析するために、PEのプロップあるいはフリップに関与する因子の探索を試みた。細胞膜PEフリッペースの調節サブユニットの変異株(lem3Δ)はPEに特異的に結合するペプチドDuramycinに感受性になる。ゲノム上にランダムに変異を挿入したlem3Δ株の中から、Duramycinに対する感受性が緩和された株を探索し、細胞極性形成及び細胞質分裂に関与していることが知られている機能因子群、RAMネットワークの変異を得た。そのうちの一つであるsog2-1変異について詳細な解析を行った。PEに特異的に結合するプローブを用いた顕微鏡観察から、lem3Δ変異で増加する外層に露出するPEは、sog2-1変異により減少すること、また、lem3Δ細胞で見られる過剰な極性化も緩和されることがわかった。一方、ABCトランスポーターがPEフロップを触媒すると考えられているが、出芽酵母ではABCトランスポーターのPdr5、Yorl、Snq2がフロッペース活性を持つことが示唆されていた。lem3Δ変異にこれら3つの因子の変異を導入すると、Duramycin感受性が部分的に緩和され、さらに細胞膜上に存在する残りの5つのABCトランスポーターの変異も合わせて導入すると、Duramycin感受性はより強く緩和された。このことから、これらのABCトランスポーターがPEのプロップにおいて重複した機能を持つことを明らかにした。sog2-1変異をこれらのABCトランスポーターの変異と合わせてlem3Δ細胞に導入すると、Duramycin感受性を相乗的に強く抑圧したことから、Sog2はABCトランスポーターとは別の機構を介してPEのプロップに関わっていることを示唆する結果を得た。
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