2010 Fiscal Year Annual Research Report
フロアープレートによるWntシグナルを介した脊椎分節機構の解明
Project/Area Number |
20570199
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪早 敬二 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (70302958)
|
Keywords | 発生・分化 / メダカ / 骨形成 / 脊椎発生 / Wnt |
Research Abstract |
研究者によるメダカ突然変異体fused centrum (fsc)の解析から、メダカ脊椎の分節性の獲得・維持には、フロアープレート(底板)でのWntファミリー遺伝子の発現が必須であることを発見した。このことは、従来知られているフロアープレートの役割(神経管の分化、神経軸索の走向性)に加え、新たな機能の存在を証明するものである。本研究では、脊椎の分節性に異常を示す複数の既存メダカ自然発生突然変異体の解析を行い、各原因遺伝子を同定することで、脊椎発生を制御する新たな分子カスケード及び分子機構の解明することを目的としている。 本研究ではfu-2、fu-4、ki69変異体の解析を行った。fu-2は脊椎骨が融合し、脊椎の分節性が失われる変異体であり、fsc変異体と全く同様の表現型を示す。fsc変異体の原因遺伝子はwnt4bであり、フロアープレートでのその発現が消失することにより、脊椎の分節性に異常をきたす。興味深いことに、fscおよびfu-2は相補性検定の結果、異なる原因遺伝子を持つ突然変異体であることが分かった。またfu-2においてwnt4bはフロアープレートで正常に発現していることから、fu-2の原因遺伝子はwnt4bシグナルの下流に位置する遺伝子であることが強く予想される。fu-4およびki69は、体節の分節性に異常を示し、左右非対称の体節が形成されることが分かった。このことは、体節の分節性が脊椎の分節性に依存していることを強く示唆している。現在までのところ、ゲノムマッピングにより、fu-2の原因遺伝子は染色体23番に位置していることが判明しており、原因遺伝子のある領域を500kb以内にまで絞り込んでいる。またfu-4とki69では体節の分節性に関与すると考えられる既知の遺伝子にそれぞれ変異が見つかった。
|