2011 Fiscal Year Annual Research Report
機能進化ゲノミクス:進化解析を用いた共生遺伝子のゲノム網羅的探索とその実験的検証
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20570220
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 誠志郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 学術研究員 (10334301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 元己 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00193524)
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Keywords | 分子進化 / 共生 / 協力行動 / マメ科植物 / 根粒菌 / 遺伝子重複 / 水平移行 / ゲノムアイランド |
Research Abstract |
共生関連遺伝子の進化的特徴の解析により、nod遺伝子群の起源とその後の進化過程についての解析を行った。とくに共通nod遺伝子群への解析を行い、この遺伝子群の特徴のうち、遺伝子水平移行と遺伝子重複に焦点を当て、23個の根粒形成遺伝子nodA-Zについて解析したところ、18遺伝子が本研究の方法で予測可能であることがわかった。そこでMesorhizobiumゲノムの遺伝子配列を用い100種強のバクテリアと比較ゲノム解析し、共生アイランド全体の検出に成功した。この領域内に数多くの共生とは関係のないハウスキーピング遺伝子の存在が推測され、ここから複数回の共生アイランド水平移行とゲノム内遺伝子転移の可能性が示された。さらに本解析による機能推定により1つ1つの共生関連遺伝子(nod,nol,nif,fix genes)の検出に成功し、また共生アイランドの外に今まで共生への関与が知られていなかった数多くの遺伝子が発見された。 現在、本当に新しい共生関連遺伝子が、これらの推定で発見し得たのかどうかを調べるため、推定遺伝子の遺伝子破壊菌株を作成し、植物に感染させている。過去の多くの研究で見つかったのと同様な、着生数低下型の遺伝子がいくつか見つかった他に、逆に遺伝子破壊により着生数が増える遺伝子を発見した。根粒菌着生域の半径を測定したところ、野生株よりも遺伝子破壊株の方が、半径が小さくなるという結果を得た。これはホスト側の表現型可塑性戦略により、1つあたりの共生体積の減少が感染数で補償されているという結果を得ている。これらとともに、窒素固定細菌の機能獲得の起源と進化について、分子進化学的な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった、新規共生遺伝子の進化学的な推測の他に、根粒形成細菌の起源と進化に関わる発見ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、根粒菌の進化についての分子進化的な解析について進め、早期に発表する。これは当初の予定であった一つ一つの分子の機能進化ではなく、それらの集合した結果である根粒形成についての解析となる。このため根粒菌の形質についての分類を行い形質進化の計算を行っている。第2に、今まで行ってきた遺伝子破壊株の実験の推進をとりおこなう。今までのこの解析の指標には、根粒の直径からの推測を利用してきたが、この後は植物の生長量や根粒菌の増殖を測って、両者の適応度の解析を行う必要があると考えている。このための課題として根粒形成能以外の共生関連機能の測定が挙げられる。窒素固定能やバクテロイドの単生状態への復帰率といった、共生進化に重要な現象の解析法を本研究に導入することが必要と考えている。
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Research Products
(3 results)