2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570228
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
近藤 信太郎 Aichi Gakuin University, 歯学部, 准教授 (60186848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花村 肇 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (60064854)
内藤 宗孝 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (20167539)
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Keywords | 三叉神経 / 眼神経 / 上顎神経 / 下顎神経 / 眼窩下孔 / オトガイ孔 / 卵円孔 / 蝶形骨 |
Research Abstract |
霊長類の三叉神経の変異を明らかにするために,ニホンザルの頭蓋骨標本を観察した。第三大臼歯萌出後の成獣では神経の通路となる孔の個数,位置に変異が見られた。三叉神経が頭蓋腔を出る時に通る内頭蓋底の孔にはほとんど変異が見られなかった。下顎神経が側頭下窩で外頭蓋底にあらわれるとき,卵円孔は下方あるいは下外側に開口する孔と翼状突起外側板を貫く孔に分かれる。これら2個の孔は癒合することがあり,翼状突起外側板に2個の孔があらわれることもあった。眼神経の頭蓋への出口は眼窩上縁の形態から推測した。眼窩上縁が平坦なもの,突起がみられるもの,突起が伸びて孔をなすもの,完全な孔となるものがあった。稀に神経の通路となる窪みが2箇所となることがあった。眼窩下孔は1〜6個で,下内方に開口した。しばしば孔に連続して溝が見られた。オトガイ孔は1〜3個で,少なくとも1個は前方に開口した。これらの孔の数,大きさ,形,配列には左右差が認められた。幼若個体でも眼窩下孔やオトガイ孔が複数確認できる場合があり,加齢によって孔の数が増えるとは言えないが,サイズが小さい幼若個体の観察は困難で孔を見落とす可能性も高い。以上から神経の走行には加齢変化が小さいことが示唆された。側方から見た場合,オトガイ孔がどの歯の位置に相当するかを検討したところ,成獣ではP3〜P4であったが,幼若個体ではdc〜dp3であった。下顎骨の成長によって孔の位置が相対的に変化したものと考えられる。 第三大臼歯の咬耗が進んだ個体には下顎骨の外側に骨隆起が見られることがあった。この骨隆起は皮質骨で構成され,その範囲はオトガイ孔まで及ぶことはなかった。
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