2009 Fiscal Year Annual Research Report
畑作の難防除外来雑草の雑草害簡易診断プログラムの開発および雑草個体群動態の解明
Project/Area Number |
20580012
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山下 雅幸 Shizuoka University, 農学部, 准教授 (30252167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 均 静岡大学, 農学部, 教授 (10183831)
浅井 元朗 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター, 上席研究員 (40355524)
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Keywords | 雑草 / 帰化アサガオ類 / コムギ / 侵入生物 / 生態学 / ダイズ / ネズミムギ |
Research Abstract |
1.関東・東海地域の畑作圃場では,近年防除困難な外来雑草による被害が増大している。侵入雑草の生態的特性・個体群動態が不明で,有効な防除技術がなく,その被害の実態すら解明されていないため,管理技術の選定すら困難な状況にある。そこで,コムギとダイズを連作する静岡県袋井市豊住の水田転作団地で,(1)侵入外来雑草による大豆作および麦作の被害実態の把握,(2)外来雑草の侵入・伝播経路の解明,(3)外来雑草多発圃場における雑草の個体群動態の解明を目的とした。 2.麦作ではイネ科一年生冬雑草であるネズミムギ(Lolium multiflorum)が侵入,蔓延している。日本ではネズミムギによるコムギ収量への影響を数値化したものはない。そこで,ネズミムギが多発するコムギ圃場において,ネズミムギ発生量を達観調査により簡易的に査定する方法の開発を試みた。達観査定のランクごとにネズミムギの発生量(個体数と全乾物重)に明瞭な差が認められた。 3.コムギ圃場に蔓延したネズミムギの侵入・伝播経路を明らかにするために,圃場内およびその周辺から収集したネズミムギのSSR多型を解析した。その結果,圃場外から圃場内に向って遺伝変異の減少が認められた。 4.耕起および不耕起条件におけるネズミムギの種子分布の違いを想定し,ポットの土中と地表にて越夏させた種子の運命を追跡調査した。その結果,ネズミムギ種子の発芽生態が散布後の越夏環境によって異なることを明らかにした。ポット試験で得られた結果を検証するため,耕起および不耕起管理のコムギ-ダイズ連作圃場圃場にて,ネズミムギの埋土種子動態と出芽パターンを比較した。ネズミムギ種子散布2ヶ月後の8月,不耕起圃場では土壌表層0~5cmに種子の91~97%が集中したのに対し,耕起圃場では深さ5~10cmの土中にも44~51%が分布した。8月の埋土種子数は不耕起圃場と耕起圃場でほぼ同数であったが,出芽パターンは顕著に異なった。
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Research Products
(11 results)