2009 Fiscal Year Annual Research Report
種子散布から子葉の出現までに21か月を要するオオバナノエンレイソウの種子休眠
Project/Area Number |
20580019
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 哲也 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (10153727)
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Keywords | オオバナノエンレイソウ / 種子休眠 / 温度 / 光 / 胚成長 |
Research Abstract |
オオバナノエンレイソウの種子は,野外では種子が散布されてから子葉が地上部に出現するまでに21ヶ月を要することが確認されているので,平成21年度は平成20年度の実験系を正常に維持しながら観察を継続した。この作業は地味ではあるが失敗すると,さらに2年が必要となるので慎重さを要した。(1)温度と光が発根に及ぼす影響:2008年7月31日~8月1日にかけて,野外の自生個体群から種子を採取し,エライオゾームを除去した。恒温器を用いて,野外の春→夏→秋→冬を再現した温度区,春・夏・秋・冬のいずれかの温度条件を与えない区,恒温条件,変温条件を与える区などを設け,それらの処理区毎に明,暗の光条件組み合わせた17の発芽実験処理区を設定した。播種後450日間発根状況を調査した結果,オオバナノエンレイソウは,播種から発根までに低温(0℃)を必要とし,最低でも300日を必要とすること,変温条件よりも恒温条件で,また明条件よりも暗条件で発根率が高まることが明らかとなった。(2)温度が子葉の出現に及ぼす影響:発根した種子を,赤玉土を入れたフルーツケースに深さ1cmで埋土し,恒温器を用いて様々な温度条件を与えた結果,子葉の出芽のためには,発根した種子が90日間15/5℃に遭遇して根系をある程度発達させた後,2度目の低温(0℃)を120日間与え,更に15/5℃に置く必要があることが明らかとなった。(3)まとめ:以上の結果より,オオバナノエンレイソウの種子が,野外では播種から出芽までに21ヶ月を要する理由は,種子が散布された後発根に第1回目の低温(冬)が必要であり,発根した種子が地上部に子葉を出現させるためには,さらに第2回目の低温(冬)が必要であるためと説明することができる。
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