2010 Fiscal Year Annual Research Report
種子散布から子葉の出現までに21か月を要するオオバナノエンレイソウの種子休眠
Project/Area Number |
20580019
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 哲也 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10153727)
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Keywords | オオバナノエンレイソウ / 種子休眠 / 温度 / 光 |
Research Abstract |
平成22年度における計画のうち,国際学会での口頭発表は実施できなかったが,オオバナノエンレイソウの種子貯蔵に関する実験の完了,これまでのDATAのまとめと解析,そして論文の投稿は計画通り実施できた。論文は5年間の平均IF=3,61のAmerican Journal of Botanyに投稿し受理された。以下にこれまでの研究によって得られた結果を要約する。 (1)野外での胚成長・発根・出芽:オオバナノエンレイソウの種子は,野外では7月末に種子が散布されるが,その時の胚は小さく未発達の状態であった。その年の第1回目の冬を経た翌年7月から胚が成長し,胚成長に引き続いて9月までに発根が終了した。さらに,発根した種子から子葉が出芽するのは第2回目の冬を経た春であった。(2)温度と光が発根に及ぼす影響:明または暗の光条件のもので,様々な温度を用いて種子を培養した結果,オオバナノエンレイソウは,播種から発根までに低温(0℃)を必要とすること,変温条件よりも恒温条件で,また明条件よりも暗条件で発根率が高まることが明らかとなった。(3)温度が子葉の出現に及ぼす影響:発根した種子に様々な温度条件を与えた結果,子葉の出芽のためには,発根した種子が根系をある程度発達させた後に,2度目の低温(0℃)を与える必要があることが明らかにされた。(4)種子の貯蔵:乾燥5℃で貯蔵した種子は,8週間後も85%の発根率を維持し,湿潤5℃で貯蔵した種子は,8ヶ月後も91%の発根率を示した。しかしながら,多くの植物種の種子の貯蔵で有効とされている乾燥-20℃で貯蔵した種子は,ほとんどが腐敗した。
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Research Products
(2 results)