2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体内エネルギー代謝恒常性調節機構解明によるメタボリック症候群へのアプローチ
Project/Area Number |
20580103
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 光博 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (10450842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川原 祐介 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30179832)
伊藤 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40252457)
森本 耕吉 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10468506)
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Keywords | 生活習慣病 / エネルギー代謝 / 胆汁酸 / オミックス解析 |
Research Abstract |
昨年までの検討により、肝臓内胆汁酸合成、血中および胆汁酸プールにおける胆汁酸組成がエネルギー代謝調節に影響を与えていることが示唆され、本年度は白色脂肪細胞、腸管細胞への胆汁酸の影響を検討し、個体全身エネルギー代謝への胆汁酸の影響を検討した。 1、白色脂肪細胞における検討 NIH3T3-L1細胞を用い、胆汁酸、FXRアゴニストの脂肪細胞分化に対する影響を検討した。その結果、FXRアゴニスト、CDCA添加により、グルコースの取り込み量、細胞への脂肪蓄積、遺伝子マーカー(PPARγ、FAS、GLUT4、ACC1、ACC2)、インシュリンシグナルに重要なAkt、IRS-1のリン酸化への影響は観察されず、既報とは異なる結果であった。FXR合成アゴニストによるマウスにおける肥満誘導は肝臓における胆汁酸合成の阻害によるためと考えられ、FXR合成アゴニスト投与マウスにさらに胆汁酸を投与して肥満が抑制され代謝が改善するかどうかを確認した。その結果、胆汁酸投与量依存的に胆汁酸プール量とCA+TCA比率の増加が観察され、肥満と耐糖能異常は改善された。これらの結果は、FXR,胆汁酸関連の薬剤開発に重要な指標を呈したことになる。 2、腸管細胞への胆汁酸の影響に関する検討 マウスにおける高フルクトース負荷による糖・代謝関連因子への影響と胆汁酸代謝の関係を明らかにするため、胆汁酸、胆汁酸吸着レジンの効果を検討した。その結果、胆汁酸、胆汁酸吸着レジンの投与により耐糖能異常・インシュリン抵抗性の改善が観察された。そのメカニズムの解析を行った結果、小腸のフルクトーストランスポーターであるGLUT-5の発現の低下が観察され、体内への吸収が胆汁酸により阻害されているためと考えられる。また、GLUT-5のプロモーター部位をクローニングしCaco2細胞に導入し解析を行った結果、動物での検討と同様に胆汁酸の添加により活性が低下した。
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Research Products
(6 results)