2010 Fiscal Year Annual Research Report
ポリフェノールによるアディポカイン産生調節と乳癌抑制効果
Project/Area Number |
20580121
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
葛西 宏介 弘前大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (50400148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 後也 弘前大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (00155847)
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Keywords | ポリフェノール / プロシアニジン / アディポカイン / 肥満 / 抗腫瘍 |
Research Abstract |
近年、肥満によるアディポネクチン産生減少と腫瘍の増殖との関係が注目されている。しかしながら、リンゴプロシアニジン(ACT)による抗腫瘍効果と肥満の関係は不明である。本研究では高脂肪食負荷によるマウス肥満モデルを用い、ACTの抗腫瘍効果に及ぼす肥満の影響を解析した。肥満対照(HFD-DW)マウスは対照(ND-DW)マウスと比較して3.9倍(p<0.01)に腫瘍体積が増加したが、その増加はACT投与により65.4%抑制された(p=p<0.01)。肥満マウスは通常マウスと比較して脂肪組織におけるAdipoq遺伝子発現量が有意に低く、ACTを摂取することにより発現量が増加する傾向が認められた。脾臓では肥満マウスのIfng、Fas1、Tnfrsf10の発現量が通常マウスと比較して、有意に減少し、またACTを摂取することにより遺伝子発現量が有意に増加した。腫瘍組織では、HFD-DWマウスにおいてAdipor1およびBc1211発現量がND-DWマウスと比較して、それぞれ1.6倍(p<0.01)、2.2倍(p<0.01)に増加し、ACTを摂取することにより減少した。さらに、in vitroにおいてB16 melanoma細胞をアディポネクチンまたはACTで直接刺激した結果、アディポネクチンによる有意な細胞増殖促進、およびACTによるAdipor1およびBc12遺伝子発現量の減少が認められた。以上の結果から、肥満マウスにACTを摂取させることにより、脾臓における抗腫瘍免疫機能を活性化させること、およびB16 melanoma細胞に対して細胞増殖促進作用を示すアディポネクチンのレセプター(Adipor1)遺伝子の発現量をACTが低下させることにより、アディポネクチンによる細胞増殖シグナルを抑制し、肥満により促進される腫瘍の増殖を抑制することが示唆された。
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Research Products
(3 results)