2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580128
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 由佳子 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60212156)
|
Keywords | 味覚 / マウス / 情報伝達 / 苦味 / カフェイン / 味細胞 / 免疫染色 |
Research Abstract |
味物質には、味細胞の細胞膜上に受容体という特殊なタンパク質によって感知されるものと、チャネルや細胞膜に直接働きかけるものがある。近年、味受容体候補遺伝子や味情報伝達関連分子候補遺伝子に関するゲノムからの情報は膨大な量に登って来ており、それを整理するための生理学的研究が希求されている。本研究では、これまで蓄積した生理学的研究を発展させて、これまでmissing ringといわれていた味細胞-味細胞-味神経間の情報伝達カスケードの構築を目的としている。 本年度は、最終年度として味細胞タイプ別の味刺激伝達経路を解析するために10mMカフェイン、10μMATP、High K+液を用いてカルシウムイメージングを行った。さらに応答細胞に対してII型細胞のマーカーであるG_α-gustducinとIP_3R-3に対する抗体を用いて抗体染色を行い、細胞型を判別した。応答パターンは以下の7種類に分類された。一般的に苦味物質はII型細胞で受容され、High K+はIII型細胞を刺激すると考えられている。また、ATPは味細胞における神経伝達物質の候補であり、味刺激によってII型細胞から放出され、III型細胞、もしくはII型細胞とIII型細胞の両方2)で受容されると言われている。本年度の結果では、カフェイン応答細胞、ATP応答細胞、およびHigh K+応答細胞のII型細胞の割合はそれぞれ70.4%、36.7%、33.3%であった。これは、カフェイン応答細胞でII型細胞以外のものが29.6%存在するということになる。スライス標本による実験では、III型細胞が苦味物質を含む様々な味質に応答することが知られているが、今回、II型細胞以外にもカフェイン応答が見られた。ATPはII型・III型細胞の両方で受容されると考えられる。これはATPが神経伝達物質としてIII型細胞を刺激する一方でII型細胞にポジティブフィードバックをかけるという報告と一致した。
|
Research Products
(3 results)