2008 Fiscal Year Annual Research Report
水田生態系保全に向けての国内外産ドジョウのDNA判別手法の開発
Project/Area Number |
20580270
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
小出水 規行 National Agricultural Research Organization, 農村環境部・生態工学研究室, 主任研究員 (60301222)
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Keywords | 農村環境 / 農業水路 / ミトコンドリアDNA / 集団遺伝解析 / Misgurnus anguillicaudatus / 栃木県 |
Research Abstract |
本研究の目的は国内外産ドジョウのDNA判別マーカーを開発し、水田生態系の保全に向けて国内におけるドジョウの遺伝的分布の実態を解明することである。平成20年度の主な実績は次の2つである。 1.ミトコンドリアDNAマーカーの開発:チトクロームb遺伝子について全国124市町村で採集された457個体の塩基配列(1,131塩基、遺伝子配列の99%)を決定し、判別マーカーとしての利用可能性について分析を開始した。各個体の配列には塩基の欠失や挿入は特定されず、配列中の341部位で塩基置換(転位数286、転換数81、両者の同時置換部位26)が確認された。これらの塩基置換をコドン(3塩基単位)でみた場合、第3部位の269(78.9%)置換が最大となり、第1と第2部位ではそれぞれ67(19.6%)と5(1.5%)置換にとどまった。全体で31部位(8.2%)のアミノ酸が変化していた。また、全個体の配列からは154ハプロタイプが出現し、ハプロタイプ多様度は平均0.9731±標準偏差0.0033、塩基多様度は0.0435±0.0208と推定された。市町村別のハプロタイプ数は新潟県新潟市で最多となり(8ハプロタイプ)、22市町村の計48個体によるハプロタイプが最大のものとなった。系統解析に基づく樹形図の構築と分岐群の推定、ハプロタイプを利用した種判別の妥当性について分析を進めている。 2.栃木県におけるサンプル収集:栃木県内のドジョウについて遺伝的特性を明らかにするため、那珂川、鬼怒川、思川水系等を基幹とする45地点で分析サンプルを採捕した。各地点ではタモ網、サデ網を用いて10〜20個体を採捕し、採捕個体については100%エタノールで固定した後、遺伝分析用に-30℃で保管した。
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