2010 Fiscal Year Annual Research Report
水田生態系保全に向けての国内外産ドジョウのDNA判別手法の開発
Project/Area Number |
20580270
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
小出水 規行 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所・農村環境部・生態工学研究室, 主任研究員 (60301222)
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Keywords | Misgurnus anguillicaudatus / ミトコンドリアDNA / シトクロームb遺伝子 / 系統解析 / 種判別式 / 栃木県 / 水田生態系 |
Research Abstract |
本課題の目的は国内外産ドジョウのDNA判別マーカーを開発し,水田生態系の保全に向けて国内におけるドジョウの遺伝特性の実態を解明することである.平成22年度の主な実績は次のとおりであり,これをもって本課題を終了する 1.DNA解析:栃木県内で採捕したサンプルについて,ミトコンドリアDNAのシトクロームb-遺伝子を分析した.計45地点384個体のサンプルからは74ハプロタイプが特定され,そのうち55ハプロタイプが新たに出現した.これらのハプロタイプを用いて系統樹を作成した結果,県内のドジョウはヨーロッパ系,中国系,韓国系(新規出現),在来系,カラドジョウ系によって構成されていることを明らかにした.チトクロームb遺伝子はドジョウとカラドジョウの種判別マーカーとして利用でき,今後はカラドジョウ系の由来先等について,中国や韓国産サンプルの分析が必要と推察された 2.形態データによる種判別式:DNA分析に使用したサンプルの形態データを用いて,野外フィールドでも利用可能なドジョウとカラドジョウの種判別式を作成した.形態データは標準体長,頭長等の7計測部位からなり,それぞれを標準体長で除して標準化した.ドジョウとカラドジョウを外的基準Y,標準化したデータを独立変数Xとし,マハラノビスの距離による判別式を構築した.得られた式は統計的に意味があり,髭最大長と尾柄高によって95.3%の確率で判別できる.これまでの結果をまとめると,ドジョウとカラドジョウの判別は,フィールドで本式による予備判別を実施し,不明な個体についてDNA解析を行うことが,調査コスト等を削減する上で妥当であると考えられた
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