2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580347
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
宇根 ユミ Azabu University, 獣医学部, 准教授 (40160303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 久実 麻布大学, 獣医学部, 講師 (70367019)
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Keywords | カエルツボカビ / 両生類 / 生態系 / 生物多様性 / 新興感染症 |
Research Abstract |
申請者は、2006年12月、飼育下のカエルからアジア初のツボカビ症を発見した。そこで、本研究は、わが国に生息する両生類の種の保存と生物多様性および生態系の保全のために、カエルツボカビの日本在来両生類に対するリスク評価とその対策の確立を目的とした。2008年は、飼育下両生類の病性鑑定を行い、15のツボカビ症事例を見出し、国内繁殖施設から愛好家までの流通過程が広く汚染されていることを明らかにした(学会発表)。同時にアジア初のツボカビ症を論文公表した。野生下両生類におけるカエルツボカビの実態調査を共同研究者と行い、全国から約2,000サンプルを収集し検査した。その結果、陽性率は5%以下で、特定の種類での陽性率が高く、他の両生類では非常に低いこと、遺伝子型が数多くあり、見かけ上健康な両生類から検出されること、陽性個体が集中して検出される地域はなく、かつ拡散の様子もなく、当該地域の両生類の個体数の減少もないことを確認した(論文投稿中のため、詳細を割愛する)。また、野生下両生類の不審死、大量死35事例を病性鑑定し、野外でツボカビ症の流行が確認できないこと、さらに、野生ウシガエルの大量死から日本初のラナウイルス感染症を見出し、論文公表し(in press)、学会報告した。在来種へのリスク評価として、ツボカビ症発症個体の飼育水を用いた感染実験を行い、3種類の在来種がツボカビ症で死亡することを確認し、学会報告した。さらに、カエルツボカビの培養株樹立に成功した。この研究過程で、カエルツボカビとともにOIEに野生動物の監視すべき重要な疾患としてリストアップされているラナウイルス感染症の野外大量死事例を発見したことは重要で、早急に疫学調査などおこなう必要がある。また、カエルツボカビに関してはこの病原体の起源を探る上の重要な知見が得られたものと考えている。
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Research Products
(4 results)