2008 Fiscal Year Annual Research Report
イヌの熱産生分子UCP3の発現解析とその活性化による新しい肥満治療法の開発
Project/Area Number |
20580358
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
石岡 克己 Nippon Veterinary and Life Science University, 獣医学部, 講師 (60409258)
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Keywords | イヌ / 肥満 / 骨格筋 / UCP3 / 不飽和脂肪酸 |
Research Abstract |
日本獣医生命科学大学付属動物医療センターで分離されたイヌ由来非上皮系悪性腫瘍から細胞株を樹立し、分子レベルでの性質を解析した。この細胞は病理組織学的に横紋筋肉腫が疑われており、インスリンの主な標的臓器が骨格筋であることからイヌの糖代謝をin vitroで研究するツールとしての可能性が期待された。培養開始から2ヶ月間は線維芽細胞の増殖が優位であったが、その後は紡錘形から円形の付着性細胞が優位となり、50回の継代後も安定した増殖を示した。この細胞株をCMS(Canine Myogenic Sarcoma)細胞と命名し、以下の解析を実施した。まず対数増殖期にある細胞を用いてアビジン・ビオチン法による免疫組織染色を行った。サイトケラチン、ビメンチン、デスミンの発現を確かめたところ、それぞれ陰性、強陽性、弱陽性という結果が得られた。これらの結果は横紋筋の性質と一致するが、平滑筋でも同様の染色態度を示すことが知られているので、さらに遺伝子レベルでの解析を行った。細胞からRNAを抽出し、逆転写反応によってcDNAを作製した。PCR法によって骨格筋特異分子であるmyoD1およびmyogenin、本研究の主なターゲット分子であるUCP3のmRNA発現を解析したところ、この細胞ではmyoD1とUCP3が発現していることが確認された。一方、myogeninの発現は確認されなかったが、これは横紋筋への分化段階の初期に発現するmyoD1とその後期に発現するmyogeninの発現時期の違いによるものと推定された。これらの結果から、CMS細胞は横紋筋分化の初期段階の特徴を備えた横紋筋肉腫細胞株であると結論された。
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