2009 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陰性菌の毒性発現制御因子である細胞間情報伝達物質の動態解析法に関する研究
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20590041
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宮入 伸一 Nihon University, 薬学部, 教授 (50209855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 弘明 日本大学, 薬学部, 助教 (30385976)
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Keywords | グラム陰性菌 / クオラムセンシング / 毒性発現因子 / オートインデューサー / 高速液体クロマトグラフィー / 蛍光標識化試薬 / エラスターゼ合成基質 |
Research Abstract |
本年度は、まず高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に用いる内標準(IS)の開発を行なった。すなわち、非天然型のN-3-oxo-acyl-HSL誘導体を数種類合成し、ISとしての適否を検討した。その結果、N-8-phenyl-3-oxo-C_8-HSLがISとして優れていることを明らかにした。次いで、昨年度合成したオキシム系蛍光誘導体化試薬のN-3-oxo-acyl-HSLのHPLCにおける有用性を検討したしたところ、予想に反して感度の面で満足できる結果が得られなかった。そこで、カルボニル基に対してオキシムと同様の高い反応性を有するヒドラジン誘導体について検討した。ベンゾオキサゾールのヒドラジン誘導体を用いたところ、種々のN-3-oxo-acyl-HSLと反応温度30℃でトリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル中において60分間反応させる時、再現性に優れたクロマトグラムを得ることができた。なお、その検出限界は33fmol/injectionと満足できるものであり、3-oxo-C_<12>-HSL濃度と3-oxo-C_<12>-HSLのピーク高さとISのピーク高さの比をプロットしたところ、3-oxo-C_<12>-HSL濃度が0.1μM~1mMの範囲で、検量線としての利用に適した良好な直線関係が観察された。また、緑膿菌などの菌の培養に使用するLB培地からの回収率は、10μM~1mMの範囲でいずれも96%以上であった。さらに誘導体化処理後の測定までの試料の安定性を検討するため、測定値の日間変動を検討したところ、実質のピーク高さは日々変動するものの、ISとのピーク高さ比は処理後9日まで一定値を示したことから、本研究で確立したN-8-phenyl-3-oxo-C_8-HSLをISとするN-3-oxo-acyl-HSLの蛍光検出HPLC系は感度に加えて定量性にも優れたものであることが判明した。
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