2010 Fiscal Year Annual Research Report
セレン蛋白質GPx4による新規細胞増殖制御機構の解析
Project/Area Number |
20590067
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
今井 浩孝 北里大学, 医学部, 准教授 (50255361)
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Keywords | GPx / 細胞死 / 脂質酸化 / スフィンゴミエリン / shRNA / スフィンゴミエリン合成酵素 / 化合物ライブラリー |
Research Abstract |
リン脂質ヒドロペルオキシドグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx4)は生体膜に生じたリン脂質ヒドロペルオキシドを直接還元できる細胞内の主要な抗酸化酵素である。これまでにGPx4をMEF細胞や受精卵などで欠損させると増殖が止まり、新規細胞死を誘導することを明らかにしてきた。本研究ではGPx4欠損による新規細胞死のメカニズムを明らかにすることを目的としている。一昨年、タモキシフェン添加によりGPx4を欠損させられるMEF細胞の作成に成功し、昨年この細胞を用いて、細胞死における脂質メタボローム解析を行ったところ、細胞死の誘導過程で、ホスファチジルコリンヒドロペルオキシドが生成した後、その低下に伴い、徐々にスフィンゴミエリン(SM)の量が増大することを見いだした。本年度、先ず、このSMの増大が、細胞死を抑制するビタミンEの誘導体で抑制されるのかを検討したところ、トロロックスの添加により、リン脂質の酸化、SMの増大は抑制され、細胞死も抑制された。次に、SMの合成酵素(SMS1及び2)の発現変動を調べたところ、SMS1の発現に変化は見られなかったが、SMS2がタモキシフェン添加後36時間後より誘導されてくることを明らかにした。そこでこのSMS2の誘導が細胞死の誘導に関わっているのか、抑制的に機能しているのかについてshRNAを用いて恒常的SMS2ノックダウン細胞を作成し解析したところ、細胞死誘導の際のSMの増加は抑制できたが、細胞死はむしろ早く起きるようになってしまうことが明らかとなった。よってSMS2は膜脂質酸化による細胞死において細胞死の抑制のため(おそらく酸化PCの代謝のため)に誘導されたと考えられた。また約300種類の化合物ライブラリーを用いて、タモキシフェン添加による細胞死を抑制できる化合物のスクリーニングを行ったところ、4種類の酵素に対する6個の阻害剤を新たに見いだした。
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