2010 Fiscal Year Annual Research Report
O-GlcNAc修飾を介した酸化ストレス応答因子の解析
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20590082
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
三浦 ゆり 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 主任研究員 (00216574)
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Keywords | シグナル伝達 / 亜ヒ酸ナトリウム / 酸化ストレス / アポトーシス / O-GlcNAc / 熱ショックタンパク質 |
Research Abstract |
本研究は、活性酸素による情報伝達システムにおけるO-GlcNAc化修飾タンパク質の機能的重要性とO-GlcNAc化の制御機構について明らかにすることを目的とする。本年度は酸化ストレス誘導アポトーシスにおけるO-GlcNAcタンパク質の役割について、HeLa細胞を用いて検討した。まず、HeLa細胞に酸化ストレスとして亜ヒ酸ナトリウムを添加したところ、クロマチン凝縮が生じ、HepG2細胞と同様にアポトーシスがおきることが明らかになった。また、亜ヒ酸ナトリウム投与により細胞内のO-GlcNAc化タンパク質が変動することから、この亜ヒ酸ナトリウムに対するストレス応答にO-GlcNAc化タンパク質が関与することが示唆された。さらに、O-GlcNAc修飾の脱離酵素であるN-アセチルグルコサミニダーゼ阻害剤(PUGNAc)を添加して細胞内のO-GlcNAcタンパク質を増加させたところ、亜ヒ酸ナトリウム投与によるアポトーシスが促進することが明らかになった。以上より、酸化ストレスによって引き起こされるアポトーシスにおいて、O-GlcNAcタンパク質増加が何らかの促進効果を示すことが示唆された。そこで、アポトーシスにおけるO-GlcNAcタンパク質の役割について検討するため、ストレス応答タンパク質であるheat shock protein 70(HSP70)に着目し、その発現変動を調べた。その結果、亜ヒ酸ナトリウム投与によりHSP70の発現は増加するが、PUGNAcの添加によりHSP70の誘導が抑制されることが明らかになった。これらの結果から、O-GlcNAcタンパク質がHSP70の発現制御に関与する可能性が示唆され、酸化ストレス応答におけるO-GlcNAc修飾タンパク質の重要性が明らかになった。
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