2010 Fiscal Year Annual Research Report
肩関節およびその周囲筋についての臨床解剖学ならびに比較解剖学的研究
Project/Area Number |
20590168
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
秋田 恵一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (80231819)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 久美子 東京医科歯科大学, 医歯学融合教育支援センター, 特任講師 (90376799)
|
Keywords | 棘下筋 / 棘上筋 / 肩関節包 / 肩関節鏡視下手術 / 上腕骨大結節 / 腱板断裂 |
Research Abstract |
本研究は、肩関節周囲筋の肉眼解剖学的な検索を進め、従来の解剖学に新たな知見を加えることを目的としておこなうと同時に、臨床家とくに肩を専門とする整形外科医の手術の改良、開発、また診断に寄与することを目指している。平成22年度は、それまでおこなってきた肩関節の腱板筋の層構造に加えて、それより内側にある関節包の構造についても検討をすることにし、それらの形態について、解剖・調査を継続した。 これまで棘上筋ならびに棘下筋の上腕骨への付着部についての調査を行ってきた。その折に、関節包についてはあまり注意を払ってこなかった。しかし、詳細に観察するとこれまで十分に検討されてこなかったのだが、かなりの厚さを持って骨に付着しているということが明らかになった。付着部のみが厚く、それに至る部分は一般に考えられているように非常に薄い構造となっていた。我々は、この停止部付近で急に厚くなって付着する関節包の構造に注目し、この部分についてマクロ的には付着部の広がりを測定した。また、この関節包を明確に認識するために組織学的に検討を行った。その結果、関節包は腱板筋の内側を薄い構造として関節を覆っていたが、付着部に近づくにつれて急速に厚みを増し、停止部では数ミリ~1cm程度の厚さをもって付着することが明らかになった。この厚さは、腱板筋の停止の厚さと相補的であり、腱板が薄くなるところでは関節包が厚く、腱板が厚くなるところでは関節包が薄くなるということが見られた。これらの観察から、これまで肩関節の腱板断裂の時には筋のみに注目してきたが、その裏打ちする関節包も重要な役割果たしているものと考えられ、今後の臨床上も注目していく必要があると考えられた。これらについて、ならびに関連する事項については論文としてまとめ、投稿中である。
|
Research Products
(11 results)