2008 Fiscal Year Annual Research Report
摂食抑制ホルモンNesfatin1の脂肪分化抑制機構の解明と肥満治療への応用。
Project/Area Number |
20590247
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
岡田 秀一 Gunma University, 医学部, 講師 (20260474)
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Keywords | 摂食 / 肥満 / ホルモン |
Research Abstract |
摂食抑制因子であるNesfatin(Nesfatin-1の前駆体)並びにNesfatin-1には脂肪分化抑制作用が存在すること、その際のNesfatinにおける主な生理作用部位はNesfatin-1であり他のNesfatin部分にはその作用が認められないこと、を新しく見出した。実験デザインは、GST融合蛋白として当研究室で作製したものを3T3L1培養細胞の培養液中に隔日で1日1回添加するものであった。種々の濃度で検討をした結果、150nMのNesfatin-1で約50%の脂肪分化抑制効果を認めた。しかし、連日投与にすると20nMの濃度でも明らかな抑制効果が確認出来たので、添加した蛋白はdegradationを受けていたと思われた。また、培養液中に添加された蛋白は、一部であるが細胞内へ取り込まれている可能性が明らかになりつつある。一方、Nesfatinは3T3L1細胞にも存在していることをreal time PCRとwesternblotとで確認したが、Nesfatin-1の存在はwesternblotでは確認出来ていない。Nesfatinは脂肪分化のステージが進むにつれてdown regulate されることも判明した。作用機序としては、Nesfatinがインスリン作用に拮抗してその効果を発揮している可能性を考えている。コンピューターソフトに依る解析では、NesfatinのY180(RHEEFKKYEMMKEHE)とY350(TEDELKEYESIIAIQ)がインスリン受容体により燐酸化を受け得るモチーフ内に存在するチロシン残基(Nesfatinはインスリン受容体の基質である可能性がある)であり、Y180が燐酸化されるとPI3キナーゼのp85 subunitのSH2 domainに対して結合部位を提供する可能性がある。実験結果は、Nesfatinはインス1リン刺激によりチロシン燐酸化を受けている可能性が大きいものであり、作用機序の解明へ向けて更に研究を進めている。
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