2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590260
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
丸山 敬 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30211577)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイド / 認可薬剤 / ベルベリン / 併用療法 / 認可薬剤 / セクレターゼ / ネプリライシン / 神経防護 |
Research Abstract |
アルツハイマー病は代表的な認知症であり、高齢化社会における対処すべき重要な課題となっている。ADの根本的治療には、脳内に沈着するアミロイド(amyloid-β peptide, Aβ)を減少させることが必要であり、産生抑制、分解促進、沈着抑制ならびに沈着Aβの除去などを標的とした治療薬の開発が行われている。新薬の開発には膨大な時間と費用を要する。一方、既に臨床使用されている薬物であれば、安全性の検証はほぼ終了している。長期に亘ると予想されるアルツハイマー病治療にとって、副作用は非常に重要な課題である。このような観点から、すでに認可されている薬物を中心にAβ量を減少させる新規治療薬候補のスクリーニングを培養細胞で行った。その結果、ベルベリンと新たにM3558(特許申請の可能性のためにコード名とする)を同定した。M3558の作用機序を検討した結果、α、およびβセクレターゼには影響を及ぼさず、γセクレターゼに対する阻害と主要なAβ分解酵素であるネプリライシンの活性化であることがわかった。M3558のAβ産生抑制効果は、β、またはγセクレターゼ阻害剤のように強力ではないことから、長期に亘る服用でも副作用が軽微である可能性を示唆された。また、ベルベリンとM3558の併用では、単独投与と比較して、その効果に増強傾向が示されることがわかった。すでに臨床使用されているM3558は有害事象がほとんど報告されておらず、細胞、および動物レベルで神経防護作用や抗炎症作用なども認められていることから、アルツハイマー病の有効な治療薬の候補となり得ると考えられた。
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Research Products
(5 results)