2008 Fiscal Year Annual Research Report
発癌に関わる癌抑制遺伝子Fhitの細胞死制御機構の解明
Project/Area Number |
20590313
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石井 秀始 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 学術研究員 (10280736)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三森 功士 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (50322748)
|
Keywords | 癌抑制遺伝子 / 活性酸素 / ゲノム / 染色体 |
Research Abstract |
発癌は多段階過程で進行し癌遺伝子の活性化と癌抑制遺伝子の不活性化を伴う。特に癌抑制遺伝子はジェネティック(DNAの配列変化を伴う)、エピジェネティック(DNAの配列変化を伴わないがヒストンのアセチル化やDNA・ピストンのメチル化等の生化学的修飾を介して転写変化に帰する)異常により両親由来の2コピー遺伝子の機能が少なくとも2段階で変化する(癌抑制遺伝子Rbに代表されるKnundsonの2ヒット理論)。本年度は、Fhitがリン酸化を介して活性酸素(ROS)を制御する機構を解明に焦点を絞った。 a)Fhit114リン酸化の意義 Fhit欠損および対照野生型マウスを用い、化学発癌(N-メチルベンジルアミン[NMBA]を発癌のイニシエーター+プロモーターとして作用させる)を投与、前胃上皮に腫瘍を作成。この腫瘍に対してFhitリン酸化欠損変異体を発現させるアデノおよびレンチウイルスベクターを経口、腹腔に投与する。また細胞株(Fhit欠損マウス線維芽細胞と癌細胞)に同様に遺伝子導入。 得られた腫瘍細胞にFRET蛍光分子プローブ、酸化ストレス応答測定、Fhitリン酸化等の多角的検討の結果、Fhitがミトコンドリア蛋白FdxrとHsp60を介してROS制御に関わることを明らかにした。 b)ミトコンドリア変異の検討 ミトコンドリアDNAを欠損したρ0[ローゼロ]細胞に、Fhit改変マゥス由来のミトコンドリアDNAを血小板融合で導入した「サイブリッド」を作成、嫌気性解糖とのバランス(Warburg Effect)検討に着手した。 c)透導性Fhit欠損細胞による解析 loxP配列にFhitエクソンを挟んでターゲティングベクターを構築し、ES細胞のアレルを置換、 キメラマウスを作成、最終的にホモマウスを作出、このマウスに種々のK14-Creトランスジェニックマウスを交配、Creレコンビナーゼを一過性に発現、loxPアレルを有する細胞作出。上皮系特異的にFhit欠損させNMBA発癌後のROS活性解析に着手した。
|