2010 Fiscal Year Annual Research Report
サイクロフィリンによるSARSコロナウイルス複製制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
20590467
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山本 典生 順天堂大学, 医学部, 助教 (40323703)
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Keywords | コロナウイルス / サイクロフィリン / サイクロスポリンA |
Research Abstract |
Mammalian two hybrid systemによってサイクロフィリンとSARS-CoVの遺伝子産物との結合について検討したところ、少なくともサイクロフィリンAとNCの結合が示唆された。ただし、サイクロフィリンAを入れたMammalian two hybrid system実験系ではバックグラウンドが高くなる傾向があり、この点については今後改善すべき余地があると思われた。またVero細胞を用いて、より詳細なTime-of-addition assayとEntry assayを行ったところ、サイクロスポリンAの作用点は感染後1時間までの中には含まれず、感染後3時間以降に含まれることが明らかとなった。この結果は、サイクロスポリンAの作用点がウイルスライフサイクルのエントリーではなく、エントリーより後であることを示している。またサイクロスポリンA関連化合物を用いてウイルス増殖阻害活性を検討したところ、サイクロフィリン阻害活性を持つ別の関連化合物においても、増殖阻害活性があることが明らかとなった。この結果は、サイクロフィリンがウイルスの複製に重要であることを支持する結果である。今後さらに別の関連化合物も含めてデータを取り、サイクロスポリンA及び今回用いた化合物と比較できれば、より多くの情報が得られると思われる。 以上をまとめると、サイクロフィリンとウイルス因子(現時点ではNCと考えられる)の結合がウイルス複製のエントリー以降のステップに重要であり、サイクロスポリンAはこれを阻害することでウイルスの増殖を阻害していると考えられる。
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