2008 Fiscal Year Annual Research Report
悪性中皮腫における癌抑制遺伝子異常-ATBF1遺伝子解析を中心に-
Project/Area Number |
20590586
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
湊 宏 Kanazawa Medical University, 医学部, 教授 (10293367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野島 孝之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50142732)
竹上 勉 金沢医科大学, 付置研究所, 教授 (10113490)
三浦 裕 名古屋市立大学, 医学部, 准教授 (90285198)
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Keywords | 悪性中皮腫 / 癌抑制遺伝子 / ATBF1 / 細胞・組織 / 癌 |
Research Abstract |
1.悪性中皮腫の症例の収集と病理学的診断、組織型の確定:本年度は悪性中皮腫症例12例(外科的生検切除例9例、剖検例3例)を収集し、HE像の確認と特殊染色、免疫染色を行った。免疫組織化学的に悪性中皮腫のマーカーであるカルレチニン・CK5/6・D2-40・vimentin等と癌のマーカーである、CEA・BER-EP4・MOC-31・CD15等を用いて診断の確認を行った。 2.癌抑制遺伝子ATBF1、p21、p16の免疫組織化学的解析:ATBF1に対するラットモノクローナル抗体R87を精製し、パラフィン包埋切片の免疫組織化学に応用した。本年度はこの至適条件の決定のために時間が割かれてしまい、予定の研究が進まなかったが、最終的には至適条件を決定でき免疫組織化学に応用した。悪性中皮腫12例においてATBF1抗体R87の免疫染色を行ったところ全例陽性(100%)となり、非腫瘍部の肺では血管平滑筋や神経組織、気管支上皮などを除きほとんど陰性であった。悪性中皮腫では主に細胞質に染色されたが、核に陽性を示す細胞も混在して認められた。p16、p14の免疫染色では悪性中皮腫での陽性率はそれぞれ30%、20%で、ともに細胞質に弱く染色される程度であった。p21は50%の症例の腫瘍細胞核に陽性で、非腫瘍部の細胞には陰性を示した。これらの結果から、癌抑制遺伝子p14、p16、p21等は一部の悪性中皮腫で重要な役割を果たしている可能性があるが、ATBF1との直接的な関係は不明である。非腫瘍性の中皮細胞ではATBF1は免疫組織化学的に陰性あるいは核に陽性を示したことより、腫瘍化に伴ってATBF1の細胞質への移行がおこる可能性が示唆された。今後中皮の腫瘍化とATBF1の核・細胞質移行に関する機構を中心に解析予定である。
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Research Products
(1 results)