2009 Fiscal Year Annual Research Report
悪性中皮腫における癌抑制遺伝子異常-ATBF1遺伝子解析を中心に-
Project/Area Number |
20590586
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
湊 宏 Kanazawa Medical University, 医学部, 教授 (10293367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野島 孝之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50142732)
竹上 勉 金沢医科大学, 付置研究所, 教授 (10113490)
三浦 裕 名古屋市立大学, 医学部, 准教授 (90285198)
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Keywords | 悪性中皮腫 / 癌抑制遺伝子 / ATBF1 / 細胞・組織 / 癌 |
Research Abstract |
1.悪性中皮腫症例の収集と病理学的診断、癌抑制遺伝子ATBF1の免疫組織化学的検討:外科的切除あるいは剖検材料での悪性中皮腫症例の収集を継続し、免疫組織化学的検討を行った。21例の悪性中皮腫と40例の非腫瘍性の胸膜中皮、28例の肺腺癌例のパラフィン包埋切片を用いてATBF1(R87)抗体免疫組織化学を行った。悪性中皮腫では4例が陰性、4例が細胞質のみ陽性、残り13例は細胞質、核ともに陽性を示した。反応性中皮細胞では27例が陰性、細胞質のみ弱陽性が2例、核のみ弱陽性が1例、細胞質、核ともに弱陽性が10例であった。肺腺癌では6例が陰性、細胞質のみ陽性が19例、細胞質、核ともに陽性が3例であった。有意な差は見出されていないが、非腫瘍性の病変での染色性は弱く、ATBF1の発現が弱いことが推測された。腫瘍においては、肺腺癌では細胞質に主に染色され、悪性中皮腫では核と細胞質がともに染色される症例が多く認められ、発現パターンに違いが見られた。悪性中皮腫では胸膜表層にある部分では核に染色され、浸潤部では核と細胞質ともに染色される傾向がみられた。このことは悪性中皮腫の浸潤とATBF1の細胞内局在との間に何らかの関係が存在する可能性も示唆された。2.細胞増殖阻害剤投与によるATBF1の核細胞質移行について:2種の悪性中皮腫培養株にレチノイン酸(RA)、サイクロスポリンA、TPAをそれぞれ投与し、ATBF1の細胞内局在を検討した。2種のATBF1抗体(R87とD1-120)を用い蛍光抗体で染色した。その結果培養株ではRAとTPAを投与した場合にR87もD1-120も核染色性が強まる傾向が見られた。この結果より悪性中皮腫では細胞動態あるいは分化の違いによりATBF1の細胞内局在が異なる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)