2010 Fiscal Year Annual Research Report
出血性ショック時の重症度判定・死因診断における好中球の評価
Project/Area Number |
20590692
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田中 宣幸 産業医科大学, 医学部, 教授 (60126597)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 敏子 産業医科大学, 医学部, 講師 (80141745)
笠井 謙多郎 産業医科大学, 医学部, 助教 (40169397)
佐藤 寛晃 産業医科大学, 医学部, 講師 (50441845)
|
Keywords | 社会医学 / サイトカイン |
Research Abstract |
これまでに,出血させないSham群ならびに全血液量の17.5,25および33%をいずれも20分間かけて出血させる計4群のラット出血性ショックモデルを用いて,出血性ショック時に臓器障害が生じやすい腎臓において検討し,出血量が増加するにつれて(1)TNF-αやIL-1βなどの炎症性サイトカインの発現が増加する,(2)腎機能障害が進行することを明らかにした。炎症性サイトカインの発現とその後の好中球の活性化にはp38Mitogen activated protein kinase (MAPK)が関与することから,今年度は出血1,3および5時間後の各時点において腎臓を採取し,p38MAPKの活性化の測定と免疫組織学的な好中球の出現頻度を観察して,腎機能障害の重症度と好中球の出現頻度との関係およびその病態メカニズムの解明を試みた。 出血1時間後にはp38MAPKに有意な上昇を(Sham群:1.00±0.05,17.5%群:1.54±0.22,25%群:2.05±0.19,33%群:2.84±0.22),さらに出血5時間後には血管腔や実質内の好中球出現頻度の有意な上昇を認め(Sham群:1.36±0.21個/糸球体,17.5%群:2.62±1.16個/糸球体,25%群:4.52±1.04個/糸球体,33%群:6.91±1.2個/糸球体),好中球出現頻度と血清クレアチニン濃度とに正の相関関係(r=0.80)があった。この結果から,腎機能障害の重症度と好中球の出現頻度との関連性を明確にすることができ,さらに,その病態メカニズムとして出血量の増加に応じたp38MAPK活性化に基づく一連の炎症反応の上昇が関与することが明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)