2008 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肝障害と鉄代謝調節異常の病態オーバーラップの分子メカニズム解析
Project/Area Number |
20590754
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
大竹 孝明 Asahikawa Medical College, 医学部, 助教 (10359490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 克哉 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00396376)
佐藤 一也 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50360988)
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝炎 / アルコール性肝障害 / トランスフェリン受容体 / ヘプシジン |
Research Abstract |
肝臓は鉄の貯蔵,利用およびその代謝調節の中心臓器であり, 慢性の肝障害が鉄代謝調節異常を引き起こす可能性がある. 我々はこれまでの知見からウイルス性肝炎, アルコール性肝障害(ALD), 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの慢性肝疾患において, 肝障害と鉄代謝調節異常はオーバーラップし, 相乗的に進行するという仮説をたて, その立証のため平成20年度は下記のALDモデルとNASHモデルにおける検討を行った. まず, 当施設のNAFLD症例では肝線維化進展例で鉄染色陽性率が高いという結果を踏まえて, 鉄代謝異常の原因遺伝子としてトランスフェリン鉄の取り込みに関与するトランスフェリン受容体(TfR1)の肝組織における発現を免疫組織染色法で検討し, NASH肝硬変例で発現が亢進していることを示した. さらに高脂肪食負荷によるマウス脂肪肝モデルにおいてもTfR1の発現亢進. が認められ, NASHにおける肝内鉄過剰の原因の一つとしてTfR1の発現亢進が関与していることを確認した. また, レプチン遺伝子欠損の過食, 肥満および脂肪肝マウスまたはアルコール負荷マウスにおいて腸管からの鉄吸収と網内皮系細胞からの鉄放出に対して抑制的に働く鉄代謝因子ヘプシジンの発現が肝組織の遺伝子発現レベルだけでなく, 血清蛋白レベルでも低下していることを確認した. これら鎌関連遺伝子の発現異常がNAFLDまたはALDの病態に深く関与している可能性が示された.
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Research Products
(6 results)